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フィルターを通して喫煙者が吸う煙(主流煙)よりも、火のついたタバコの先から立ち昇る煙(副流煙)の方が有害物質を多く含んでいます。ニコチン、タール、窒素酸化物、及び一酸化炭素では3~5倍程度、アンモニアや発がん物質として有名なニトロソアミンなどは50倍近い量に上ります。
なぜ、副流煙の方が有害物質を多く含み危険なのでしょうか? 主流煙とはフィルターを通して喫煙者本人が吸い込む煙であり、副流煙とは火のついたタバコの先端から立ち上る煙です。タバコを吸うと、先端の火の部分には空気(酸素)が引き寄せられ燃焼温度が上昇し赤く光ります。この時の先端の温度は900℃にも達し、主流煙中の有害物質は多くが分解されてしまいます。さらに、フィルターも通すため、主流煙の有害物質はさらに低下します。
一方、副流煙はただ手に持っている時に立ち上る煙です。先端は500位の低い燃焼温度です。有害物質の多くが分解されずに副流煙中に含まれています。また、フィルターも通していません。すなわち、副流煙の方が主流煙より危険な煙といえます。
以前、社会問題にもなったダイオキシン。これはゴミなどの産業廃棄物を低温で不完全燃焼させると発生します。近年では、高温で完全燃焼させる技術と規制が発達し、この問題はかなり解決されてきています。副流煙の毒性はダイオキシン問題と同じ様な原理で考えると理解しやすいでしょう。
厚生労働省の研究でも、副流煙には主流煙の50倍以上もの濃度で含まれる有害物質がいくつも確認されています。このことは、部屋の中で副流煙が50倍に薄まったとしても、同じ部屋にいる人は主流煙を吸ったのと同じ量の有害物質を吸い込むことを意味していています。すなわち、受動喫煙を決して甘く見てはいけないのです。
受動喫煙によって(たばこを吸わない人が)、目や鼻への刺激、頭痛や、呼吸抑制、心拍増加、血管収などの急性影響や、不快感、ストレスなどの精神的被害を受けます。そして、受動喫煙は肺がんや慢性呼吸器疾患や心筋梗塞などの心疾患の発病と死亡リスクを増加させます。親の喫煙により乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクが倍増します。喫煙者の両親を持つ子どもは気管支炎や喘息などの呼吸器疾患のリスクが約2倍高くなります。