>医療法人 啓眞会 くにちか内科クリニック

スマホ用QRコード

大腸がん検診

 

 

 

大腸がん検診

 

■日本人の死亡原因の第1位は悪性新生物(がん)

 

 悪性新生物(がん)は一貫して増加しており、昭和56年以降死因順位第1位です。平成29年(2017年)では全死亡者に占める割合は 27.9%で、第2位の心疾患15.3%を大きく引き離しています。

 

 

■大腸がんによる死亡は女性では第1位

 2017年(平成29年)の厚生労働省の統計によると、がん死亡のうち大腸がん※1による死亡数は女性では第1位、男性第3位。男女合わせると第2位となっています

 

 臓器別がん死亡のワースト3の内訳(臓器・ 死亡数)は次の通りです。

 

 

※1)大腸がん=結腸がん+直腸がん

 

■大腸がん罹患数は男女合わせるとワースト1

 また、2018年の国立がんセンターのがん統計予測によると、大腸がんが罹患数(その年の新患数)は男女合わせると第1位になるとのことです。

 

 

■大腸がん検診とは

 大腸がん検診は問診便潜血検査を組み合わせで行われます。


■便潜血検査とは

 大腸がんポリープがあると、便が腸内を移動する際に便と組織が擦れて血液が付着します。便潜血検査はその血液を検出する検査で、目に見えないわずかな血液も検出可能です。

 

 便潜血検査には化学法と免疫法があります。化学法は赤血球のヘモグロビンの特性を利用して色素の変化で出血の有無を判定します。ただし、魚・肉の摂取や造血剤(鉄剤)でも陽性にでるため、検査前はこれらの摂取・服用に制限が必要となります。一方、免疫法はヒトの血液にしか反応しないため、面倒な食事制限や服薬制限は不要です。現在、我が国の大腸がん検診では後者の免疫法が採用されています。

 

 便潜血検査で陽性になった場合は、その原因を明らかにするために精密検査が必要です。精密検査は通常、全大腸内視鏡検査が基本となります。

 

 便潜血検査は5種類のがん検診(胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸部がん)の中でも最も死亡率が下がる事が証明されています。

 

 便潜血検査では約7%が陽性と判定されます。そのうち、精密検査(大腸内視鏡など)により3~4%に大腸がんが見つかります。その約70%が早期がんです。

 

 陽性反応の出る原因として大腸がん以外にも、大腸ポリープ、痔、炎症性の病気(潰瘍性大腸炎、クローン病)などがあげられます。また、胃潰瘍や胃がんなどでも陽性反応がでる場合もあります。

 

 便の採取は自宅で行う事が出来ます。便の表面を採便用の棒でまんべんなくこすり、通常2日間分の便を採取します。食事制限の必要のない簡単な検査です。

 

 

■全大腸内視鏡検査
 
 精密検査として第一に推奨される方法です。内視鏡を挿入し、直腸から盲腸までの大腸の全部位を撮影し、がんやポリープなどの病変がないかを確認します。必要に応じて、大腸の粘膜の細胞を採る検査をすることがあります。採取した細胞は、悪性かどうかを病理学的に診断します。
 
 

■便潜血検査で一度でも陽性とでたら精密検査(大腸内視鏡)を!

 検査で一度でも陽性がでれば、必ず精密検査(大腸内視鏡)を受けましょう。「もう一度、便潜血検査をすること」はお勧めできません。大腸がんがあっても毎回出血するとは限りません。もう一度検査をして陰性であったとしても、大腸がんを否定することはできないからです。

 

 また、痔を持っている方は、便潜血で陽性が出ても「痔からの出血だろう…」と精密検査(大腸カメラ)を受けない方もいます。もちろん痔が原因の場合の事もありますが、痔以外の病気が隠れている事もあります。便潜血で陽性と出た場合は、ぜひ精密検査を受けることをお勧めします。

 

■便潜血検査が陰性でも大腸がんの否定はできない

 大腸がんで便潜血検査で陽性と出るのは早期がんで50%前後、進行がんで80~90%と言われています。すなわち、便潜血反応のみでは早期がんの半数、進行がんでも10~20%は見逃されることになります。それでも毎年、便潜血反応を受けることで陽性とでる確率が増え、たとえ発見された時は進行がんとなっていても「根治できる(治る)がん」で見つかる可能性が高くなります。

 

■症状がある場合は直接、大腸内視鏡を!

 便潜血検査は何も症状のない人の大腸がんスクリーニング検査です。大腸がんを発見したり診断したりする検査ではありません。したがって、次の場合は直接大腸検査を受けることをお勧めします。

  • 痔がないのに便に血が混じる
  • 排便時に出血・下血する
  • 下痢と便秘を繰り返す、便が細い、便が残る感じがする
  • 最近便秘になった、下痢になった
  • お腹が痛い、お腹が張る
  • 原因不明の体重減少
  • 近親者に大腸がんがいる
  • 以前、大腸がんや大腸ポリープがあった
  • 現在、大腸疾患で治療中または経過観察中

 

■対象者、費用は?

 自治体により異なります。札幌市の場合は下記の通りです。

  • 40歳以上、年1回
  • 費用:400円 (39歳以下:2,710円 70歳以上:無料)