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10月(秋)号

 

2017年10月(秋)号

 

こんな症状にご注意を

COPD(慢性閉塞性肺疾患)かもしれません


COPDとは、どんな病気?

慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)とは、以前呼ばれていた慢性気管支炎や肺気腫を合わせた呼び方です。たばこ煙を主とする有害物質を長期間吸う事によって気管支・肺などに慢性の炎症が起こり空気の出し入れが障害(慢性気管支炎)され、肺胞が壊れ酸素の取り入れや二酸化炭素の排出が傷害(肺気腫)される病気です。

どんな人がなるの?

 最大の原因は喫煙です。COPDは「たばこ病」とも呼ばれており、90%は喫煙(過去の喫煙・受動喫煙も含む)が原因です。喫煙者の6人に1人がCOPDになるともいわれています。喫煙以外では職業的に粉塵や化学物質を扱う人も発症の可能性があります。

どれくらいの患者さんがいるの?

COPDは20年以上の喫煙歴を経て発症します。近年、日本でも喫煙率は減少傾向ですが、20年以上前の高かった頃の喫煙(率)の影響により、COPDの患者数と死亡者数は増加しています。2015年のCOPDは死因の第10位でしたが、今後死亡順位は確実に上昇すると予測されています。全世界では2020年までに死因の第3位になると予測されています。

どんな症状がでるの?

主な症状は「慢性の咳・痰、息切れ」です。咳・痰は長引く傾向がありますが、初期の頃は「カゼかな?」と見過ごされがちです。また、坂道や階段での息切れは「歳のせい」と勘違いされてしまいます。その結果、病気は次第に進行し、咳・痰は日常的になり、平地の歩行やありふれた日常的な動作でも息切れがするようになります。

また、全身にも影響を及ぼします。自宅での「酸素吸入」(HOT:在宅酸素療法)導入や肺機能・運動能力の低下による「寝たきり」、呼吸不全・心不全などによる「命に関わる病気」の併発など、深刻な事態に陥ってしまいます。

診断されたらどうすればいいの?

残念ながら、今のところCOPDを治す方法はありません。しかし、早期に発見し治療を開始することで病気の進行を遅らせることができます。

治療の基本は禁煙です。たばこはCOPDの最大の原因です。また、がん部位死亡第一位の肺がんの最大の原因でもあります。COPDと肺がんの最大にして共通の原因、たばこ。「いまさら禁煙したって…」と思っておられる方。遅すぎる禁煙はありません。何歳になっても禁煙には意味があります。「一刻も早い禁煙」をお勧めします。

病気を早期発見するためには?

40歳以上で喫煙歴(過去喫煙、受動喫煙も含む)のある方、下の項目をチェックしてみてください。

l カゼを引いてもいないのに咳や痰がでる

l しつこい咳や痰がでたり、朝起きてすぐ咳・痰がでたりする

l 階段や坂道で息切れがする

l 同年代に人より歩くスピードが遅い

一つでもチェックがついた方はCOPDの可能性があります。心配な方は呼吸機能検査を受けることをお勧めします。当院でも検査できますのでお気軽にご相談下さい。

 

COPD(慢性閉塞性肺疾患)の食事で気をつけたいこと

COPDの患者さんは呼吸をするために健常人より多くのエネルギーを必要とします。いつもマラソンをしているような状態といえます。常に十分なエネルギーとタンパク質、ビタミンなどの栄養素の補充が欠かせません。

呼吸商の低い脂質を増やし、十分なエネルギーを摂りましょう

 COPDでは肺気腫による肺胞破壊や気管支炎による気道閉塞のため呼吸(換気)がうまくできません。また、肺の過膨張により横隔膜の動きが悪くなり、補助呼吸筋注1)を最大限まで動員して呼吸をしています。そのため、健常人の1.5~1.7倍のエネルギーが必要とされています。

 COPDでは二酸化炭素を排出する機能が低下しています。二酸化炭素産生量が低い(呼吸商注2)が低い)脂質の割合を増やして肺の負担を減らすことが大切です。揚げ物や油いため、練りごま、クリーム、バターなどは呼吸商が低く、しかも高カロリー食品です。さらに、ω3系脂肪酸はCOPDにより引き起こされた全身での炎症を抑える働きもあります。青魚やクルミ、アマニ油、シソ油などを積極的に摂りましょう。

タンパク質とミネラルを積極的に摂りましょう

 活発な活動が必要な呼吸筋のため、良質なタンパク質を摂取し呼吸筋を補強しましょう。BCAA注3)を多く含む青身魚や、肉類、大豆製品、乳製品などを意識して摂りましょう。

カルシウムやリン、マグネシウム、カリウムなどのミネラルは筋肉を動かすのに重要な役割を担います。乳製品や野菜、果物に多く含まれます。

少しずつ こまめに食べましょう

 一度に食べられない時は、間食なども加え食事回数を増やし、少しずつ「こまめに」食べるようにしましょう。

ガスの出やすい食品や塩分を控えましょう

 消化管(胃)でガスを発生させるものは、食欲が落ちたり、横隔膜の運動を制限したりするため、控えたほうがよいでしょう。さつまいもやビール・炭酸飲料などです。

 塩分が多いと心臓に負担がかかります。漬物、汁物、麺類、加工食品、インスタント食品などは控えましょう。

注1)補助呼吸筋:安静時に働く呼吸筋(横隔膜、外肋間筋)以外に、努力呼吸時に使われる呼吸筋。斜角筋、胸鎖乳突筋、内肋間筋、腹筋群(腹横筋・外腹斜筋・内腹斜筋)など。

注2)呼吸商:産生された二酸化炭素と消費された酸素の比。炭水化物の1.0に対し脂質は0.7と低くお勧めの栄養素。

注3)BCAA:分岐鎖アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン)。筋肉のタンパク質合成を増やす働きがある。

皆さんの疑問にお答えします

Q:薬屋さんで見かける「セルフメディケーション税制」って何?

A:特定一般用医薬品を購入した場合に受けられる医療費控除の特例です

従来からある医療費控除は、病院の診療費・通院の交通費等も含め年間10万円以上の医療費の支払いがあった場合に適用なります。

これに対し、セルフメディケーション税制スイッチOTC医薬品注1)の購入額が年間1万2千円を超え、一定の取り組みを行った人注2)が購入した場合に医療費控除の申請することが出来る制度です。平成29年1月1日からの制度で、従来からある医療費控除との同時申請はできません(どちらか一方のみ)。また、控除申請には購入時のレシートや領収書が必要です。

注1)OTC医薬品:Over The Counter(カウンター越しにアドバイスを受けた上で購入する)医薬品の略。調剤薬局や薬店・ドラッグストアなどで、処方せんなしに買うことができる一般用医薬品のこと。

・スイッチOTC医薬品:もともと医療用として使用されていた医薬品を有効成分や服用方法、用量が全く同じまま市販されている医薬品のこと。薬剤師のみが販売できる。

注2)申請する本人が所得税や住民税を納めていて、以下のいずれかを受けている人。

特定健康診査、予防接種、定期健康診断(企業健診)、健康診査、がん検診など