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腹痛の原因は様々です。素人判断では危険な場合があります。
まずはご相談を!
腹痛の機序による分類 |
腹痛の原因とその対処を知るために、腹痛が生じるしくみから説明します。腹痛は発症メカニズムから内臓痛、体性痛、関連痛に分けられます。
■内臓痛(visceral pain)
管状の臓器(消化管、尿管、子宮・卵管など)の被膜の伸縮・収縮や炎症・壊死・組織圧の上昇により出現する疼痛です。自律神経を介して感じる疼痛です。自律神経末端は腹腔臓器と腹膜に分布しています。
腎臓、尿管を除く腹部臓器の自律神経は両側支配であるため、痛みの部位は原因となる臓器の近くではなく、体の中央付近で左右対称的です。周期的で漠然とした痛みで悪心・嘔吐、冷汗などの自律神経症状を伴います。歩行や体動による悪化(増悪)はありません。
たとえば、急性虫垂炎の痛みは初期には内臓痛として心窩部・臍周辺の鈍痛です。炎症により伸展された虫垂の被膜の刺激が心窩部に投影されるためです。
■体性痛(somatic pain)
内臓をとりまく腹膜や腸と腸の間にある腸間膜、横隔膜などの炎症や機械的刺激によって生じます。壁側腹膜の体性神経刺激(知覚神経)を介して起きる疼痛です。持続的で刺すような鋭い痛みで、疼痛部位は左右非対称で病変のある臓器の付近に限局します。体動や咳嗽で増悪します。
急性虫垂炎では初期に感じた心窩部・臍周辺の内臓痛は、その後右下腹部に移動し持続的で差し込むような体性痛となります。
■関連痛(referred pain)
関連痛とは、内臓から生じた疼痛がその本来の場所でなく、体壁(皮膚、筋肉)の別の部位から生じているように感じられる痛みのことです。脊髄で内臓からの知覚神経と皮膚からの知覚神経が集まり大脳皮質内臓痛を生じた部位と同一レベルの脊髄後根における体性知覚神経の刺激により、その神経が支配する領域に表在性の疼痛を感じます。
腹痛部位と消化器疾患 |
腹痛は、消化器、泌尿器、婦人科領域、血管、筋肉、腹膜など腹腔内(ふくくうない)にあるあらゆる臓器・器官の変化で起こります。さらに、心臓、肺などの疾患でも起こります。色々な病気(疾患)のなかで腹痛を主症状とするものが最も多いのではないかと思われます。
にもかかわらず、痛みの程度や部位、性質、随伴症状などで原因となる疾患がある程度推測できるのが腹痛でもあります。ここでは消化器疾患について説明します。
■心窩部痛
■右季肋部痛
■左季肋部痛
■右下腹部痛
■左下腹部痛
■臍部痛
■下腹部痛
腹痛部位と消化器以外の疾患 |
腹痛の原因となる疾患は、お腹の中にある胃腸や肝臓・胆嚢・胆管・膵臓などの消化器以外にも、心臓、血管、肺、腎臓、卵巣・子宮などの臓器の異常でも起きることがあります。
■心臓・血管疾患(心筋梗塞、狭心症)
■塞栓症または血栓症
腸管膜動脈塞栓症、腎梗塞など
■血管破綻
大動脈瘤破裂、大動脈解離など
■ 呼吸器疾患
肺炎、胸膜炎、肺塞栓、気胸、食道穿孔など
■泌尿器疾患
尿管結石、腎盂腎炎、尿閉、精巣捻転など
■代謝性疾患
糖尿病性ケトアシドーシス、副腎不全、高カルシウム血症などに
■婦人科疾患
子宮外妊娠破裂、骨盤内感染症、卵巣出血、卵巣軸捻転、月経痛など
■筋骨格疾患
帯状疱疹、腹直筋外傷、椎間板ヘルニアなど
内臓痛と関連痛の部位と原因臓器 |
関連痛とは、脊髄で内臓からの知覚神経と皮膚からの知覚神経が集まり大脳皮質に伝達される時に、脊髄の同じレベルからの内臓神経痛を中枢が皮膚からの痛覚刺激として誤認識するために生じると考えられています。疾患によっては特徴的な関連痛発生部位があり、疾患を鑑別するうえで役立ちます。綿球や指先の爪で皮膚をなでると過敏な皮膚の領域が描けます。
腹痛診断のポイント |
腹痛の原因を調べる時に血液検査やエコーなどの画像検査も重要なのですが、症状の経過も診断に必要な情報となります。特に、「痛み」の発症様 式、時間経過は大切なポイントです。なかでも、数秒から数分間でピークに達するような突然の痛みは、消化管、胆管、血管などが閉塞したり、破裂したり、捻じれ て生じることがあります。
医療機関受診の際には、以下のポイントについて説明できるようにしておきましょう。危険なサイン(徴候)としては、突然発症で最悪の痛み、増悪 していく痛み、夜眠れない痛み、歩くとき響く痛み、食事がとれない痛み、嘔吐や発熱が続くなどの項目に該当するようでしたら、医 療機関を受診することをお勧めします。
■腹痛の部位と期間
■腹痛の発症様式(Onset)
痛みは突然痛くなったのか? (どれくらいの時間で悪くなったか)
詰まった ☞ 心筋梗塞、腸間膜動脈閉塞、尿管結石、胆石
破れた ☞ 腹部大動脈破裂、大動脈解離、消化管穿孔、
捻じれた ☞ S状結腸軸捻転、卵巣軸捻転、精巣軸捻転
捻じれた ☞ S状結腸軸捻転、卵巣軸捻転、精巣軸捻転
■痛みの増悪/緩解(和らぐ)
■時間経過はどうか
■痛みはどんな痛みか
■腹痛以外の症状は
■既往