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危険なめまい

 

 

めまいの原因は様々です。素人判断では危険な場合があります。

まずはご相談を!

 

 

危険なめまい・見逃したくないめまい

 

  • 脳血管障害(小脳出血・梗塞、脳幹出血・梗塞)

突然または急性に発症し、持続する回転性めまいで、頭痛や嘔気・嘔吐を伴う場合は要注意。高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙などはリスクファクターとなる。

 

  • 不整脈 

脈が1分間に50以下の場合は徐脈、100以上の場合を頻脈という。脈が1分間に40以下になると息切れやめまい、失神をきたすことがある。また、脈が1分間に120以上になったり、脈がみだれたりしても動悸、息切れ、胸痛、めまい、失神をきたすことがある。不整脈によるめまいが疑われた場合は心電図検査及び24時間心電図(ホルター心電図)検査が必要となる。

 

  • 消化管出血 

出血部位や原因疾患により消化管出血の症状は多彩である。短時間で大量の消化管出血があった場合は、血を吐く(吐血)とか赤または黒い便を出す(下血)などの症状で始まり、すぐに消化管出血と分かる。しかし、持続的に少量の出血の場合は、「動悸」「ふらふら」「めまい」「失神」など、一見消化管出血とは関係なさそうな貧血による症状となる。消化管出血は貧血の最も多い原因の一つ。食道・胃・十二指腸からの出血が疑われる場合はまず上部消化管内視鏡(胃カメラ)が、大腸からの出血が疑われる場合は大腸内視鏡が必要となる。

 

  • 子宮外妊娠 (破裂)

子宮外妊娠とは、受精卵が子宮体部内腔以外の場所に着床する疾患で、全妊娠の1%に認められる。卵管炎や腹膜炎の既往、不妊治療歴、異所性妊娠の既往がリスクとなる。胎嚢が破裂するまで何も症状がないことがあるが、妊娠初期に伴う症状(嘔気、無月経)に加え妊娠6~8週頃に下腹部痛、性器出血を認める。卵管内で発育した胎嚢が破裂すると突然発症の重篤な持続性の腹痛とショック状態となる。一方、膨大部妊娠では出血は少量にとどまることが多い。このような場合は、貧血の症状としてめまいとし発症することもある

 

  • 突発性難聴 

正確な原因は不明。ウイルスによる蝸牛炎、脳血管障害、自己免疫疾患などが考えられている。突然~急速な難聴で発症。多くは片側性の感音性難聴で両側性は稀(3%)。

20~60%に回転性めまいを呈するがめまい発作を繰り返すことはない。

後頭部痛や後頚部痛を訴える場合は椎骨動脈解離を考える。

 

  • 片頭痛(前庭性片頭痛)

片頭痛の既往がある人の繰り返すめまい。

めまいは主として回転性めまいでしばしば頭位性で頭位変換により誘発または増悪する。

発作時間は多彩。数分から数日におよぶものまで幅広い。

めまい発作と片頭痛発作のタイミングは様々。片頭痛発作のめまいが先行する場合やその逆の場合もある。

 

  • 大動脈弁狭窄 (AS)

生まれつき弁の形に異常がある先天性やリウマチ熱によるものに加え、高齢化や動脈硬化が原因で弁が硬くなる加齢性の要因が近年では増加している。

軽度なうちはほぼ自覚症状はないが、進行性の疾患である。症状が進むと胸痛や安静時でも息切れがするといった症状が現れ、重症化するとめまいや失神、場合によっては突然死に至ることもある。

 

  • 大動脈解離・破裂 

大動脈解離とは、大動脈の血管壁になんらかの理由で亀裂が入り、そこから血管壁の中に血液が流れ込んで、本来の血液の流れ道とは別の、もうひとつの流れ道ができた状態をのこと。この血管壁の裂けた状態を「解離」という。

大動脈解離により①大動脈が膨れる、②血流障害により狭心症・心筋梗塞や脳梗塞を合併することがある。また、破裂すると出血性ショックとなり48時間以内に約半数が死亡する。

 

  • 肺血栓塞栓症(肺塞栓 )

肺血栓塞栓症とは、静脈や心臓内で形成された血のかたまり(血栓)が肺の血管を閉塞することによって生じる。塞栓源の90%以上は下肢または骨盤内静脈。肺血管床を閉塞する血栓の大きさや患者の心肺予備能により、発症する臨床症状の程度も、無症状から呼吸困難や胸痛、 めまい、失神、突然死まで様々である。この病気は、長時間飛行機に乗った際に起きることもあり 「ロング・フライト血栓症」とか「エコノミークラス症候群」とも呼ばれる。脱水や多血症、肥満、妊娠・出産、経口避妊薬、下肢骨折後、手術後、長期臥、ロングフライト、下肢麻痺、悪性腫瘍などがリスクとなる。

 

  • 薬物 

特に降圧薬、睡眠薬、抗パーキンソン病薬、抗ヒスタミン薬、抗ガン薬などは眠気や嘔気、めまいなどに注意が必要。その他、多くの薬剤はめまいをきたす可能性がある。

 

  • 低血糖 

糖尿病治療薬の経口糖尿病薬やインスリンなどは、投与量が少なければ高血糖になり、過剰であれば低血糖となる。個人差はあるが、血糖値が70mg/dlを下回ると症状が出現する。

軽度の低血糖の症状としては、頭痛、動悸、悪心(吐き気)、眠気、発汗、空腹感、不安感などです。

低血糖が重くなってくると、めまい、集中力の低下、けいれん、疲労感などを起こし、最後には意識消失、昏睡状態に陥ります。

 

  • 慢性硬膜下血腫 

治療可能な認知症(treatable dementia)の代表格。高齢者に多い。

数日から数週にかけて増悪してくる「ふらふらする」「力が入らない」「最近よく転倒する」といった症状が多い。

最近の軽微な本人が覚えていない、転倒しても直接頭部を打撲していなくても慢性硬膜下血腫に至ることもある。本人は自覚症状はなくても、家族から見て「なんとなくいつもとは違う」という訴えが契機で発見されることもある。

 

  • パーキンソン病 

安静時振戦(tremor at rest)、筋固縮(rigidity)、無動(akinesia)、姿勢不安定(postural instabillity)を主要徴候とする大脳基底核の黒質変性によるドパミン欠乏に基づく疾患。

ふらつきや歩行障害が「めまい」として表現されることもある。

 

 

 

 

よくあるめまいの原因

 

 良性発作性頭位めまい症(BPPVもっと詳しく

頭を動かす時にのみ出現する回転性めまい。最も多いめまいの原因。持続時間1分以内。頭痛や耳鳴り、難聴はない。このめまいなら心配なし。

ただし、BPPV以外の疾患を確実に除外する(否定できる)必要がある。

 

 心因性 

はっきりしないめまい。かすみのかかった状態、頭がぼんやりする、酔った様な感じ、気力がない、不安定、浮いている感じ。

パニック発作の場合もある。背景に何らかの身体的な基礎疾患が隠されている場合があり、注意が必要。

多彩な精神症状はめまいの「原因」というよりめまいの「結果」かもしれない。

 

 メニエル病 

内リンパ水腫が原因でおこる反復性(繰り返し起こる)めまい。めまい発作は数分~数時間(20分~24時間)持続。変動する耳鳴りや難聴を繰り返す。めまい発作に難聴、耳鳴り、耳閉感(蝸牛症状)を伴う。

 

 前庭神経炎 

主にウイルス感染により前庭神経が障害されておこるめまい症。30%は上気道感染後に発症する。難聴、耳鳴り、耳閉感なし。症状は重篤。しばしば、小脳・脳幹梗塞などの中枢性の脳血管障害と紛らわしいことがある。

 

 高齢者のめまい・ふらつき

高齢者の歩く時のふらつきをめまいと感じることがある。背景に高齢者に伴う様々な身体的基礎疾患がある可能性がある。大脳(脳血管障害、脳委縮)、小脳(失調)、頚髄(頚髄症)や腰髄(脊椎管狭窄症)筋力低下、末梢神経(糖尿病、ビタミンB12欠乏)の様々な部位の障害や視力低下(白内障など)、聴力低下などが関与している可能性もある。また、普段服用している薬剤の副作用の可能性もある。

 

 

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