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高血圧のリスク

 

高血圧は心血管病の最大の危険因子

 

 高血圧は心血管病(脳卒中および心疾患)の最大の危険因子です。1960年代、日本は世界の中で最も脳卒中による死亡率が高い国の一つでした。

 

 近年では脳卒中の発症率・死亡率は減少してきています。しかし、依然として心筋梗塞などの冠動脈疾患より高い状態が続いています。脳卒中による死亡は心筋梗塞による死亡の約3倍です。脳卒中の中では脳梗塞は脳出血の2-3倍の発症率です。

 

 

EPOCH-JAPAN

 

 血圧レベルと心血管病リスクは段階的・連続的な正の関連が認められています。最近、日本における主要な13のコホート研究を統合したプロジェクトEPOCH-JAPANがなされました。それによると、40~64歳の中年者と65~74歳の前期高齢者では血圧値の上昇により心血管病のリスクは対数直線的な増加が示されています。

 

 まず、どの年代においても血圧値120/80未満の至適血圧のリスクが最も低いことが示されています。これは従来のそれぞれの研究報告の結果をさらに確かなものにしました。年代別では、40~64歳の中年者は至適血圧と比べると血圧値140/90以上のⅠ度高血圧は約3倍の心血管病のリスクでした。

 

 そして、すべてが至適血圧だったと仮定した場合に予防できたと推定される死亡者数の割合(集団寄与危険割合PAF)は、全血管病死亡の50%、脳卒中死亡の52%、冠動脈疾患死亡の59%が至適血圧を超える血圧高値に起因すると評価されました。そのうち、Ⅰ度高血圧からの過剰死亡率が20.5%と最も多く認められています。また、Ⅰ度高血圧以の高血圧からは加速度的にそのリスクが上昇しています(EPOCH-JAPAN)(図1-5)。

 

 

 

 

高血圧とその他の因子による死亡数への影響

 

 日本人成人の非感染性疾患および外傷による死亡に対する「予防可能な危険因子16」を挙げ、それらによる回避可能な死亡数を割り出した研究です。高血圧は喫煙に次ぐ重要な死亡原因で、年間約10万人が高血圧により死亡しています(図1-6)。

 

 

 

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