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スキーと私(その8)

大谷翔平選手と目標達成シート

 

 

 

2021年流行語大賞「リアル二刀流/ショータイム」

 

 

 2021年12月1日、その年に話題となった出来事や発言から言葉を選ぶ『2021 ユーキャン新語・流行語大賞』が発表され、“年間大賞”には大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)の「リアル二刀流※1/ショータイム」が選ばれた。 

 

※1)高校・大学野球では4番投手というのはしばしばある。しかし、投打共にハイレベルなプロ野球界ではどちらもこなす「二刀流」は非現実的であった。ところが、日本ハムやDHのあるア・リーグで、あえてDHを外し2番投手など主力打者および投手としてで出場する大谷翔平選手が登場。その彼を称する造語。

 

 トップ10には、今夏に開催された東京五輪のスケートボードで中継の解説者の瀬尻稜さんが発した「ゴン攻め/ビッタビタ」や、パラリンピックのボッチャで金メダルに輝いた杉村英孝の得意技「スギムライジング」などが選出された。また、一度聞くとクセになるAdoさんの楽曲「うっせぇわ」もランクインした。

 

 多くの人が耳にしたであろうこれらの言葉を抑えたのが、連日のように投打で並み居るメジャーリーガーを凌駕した大谷翔平選手であった。「2回の手術でも二刀流を諦めず、ゴミを拾い、審判に敬意を払い、雄叫びがクール、笑顔がキュート…。大谷選手のすごさを挙げればきりがない! つまりはみんなSHOHEIが大好き。」

 

 メジャー4年目の大谷選手は投手で9勝2敗、防御率3.18、156奪三振、打者でも打率2割5分7厘、リーグ3位の46本塁打、100打点と圧巻の数字を残した。投手で降板後に外野の守備に就いたほか、26盗塁を記録。二刀流なみならず三刀流ともいえる万能ぶりを遺憾なく発揮。

 

 満票でアメリカン・リーグMVPを受賞するなど、様々な賞を獲得した大谷選手。野球界やスポーツ界に止まらず、シーズンを通して日本国民の大半を虜したにもした。今から来季のプレーが待ち遠しい。

 

 

高校野球

 

 彼が中学3年時にセンバツ大会決勝に進出した花巻東高校のエース菊池雄星に憧れ同校へ進学。「日本一になる」「日本人最速となる160kmを記録する」「ドラフトで(6球団から1位指名を受けた菊池雄星を越える)8球団から1位指名を受ける選手になる」ことを目標に掲げた。

 

 大谷はこの高校での寮生活について、良い環境であり自身が大きく変わるきっかけになったと後に語っている。生活や娯楽に制限を受けたことで、何が正しいのかを考えて行動することの重要性を学んだという。親以外の指導者から教わる経験も初めてであった。監督の佐々木洋氏による『先入観は可能を不可能にする』(先入観を捨てることによって不可能が可能になる)という言葉を心に刻んだ。

 

 

 大谷翔平選手の目標達成シート

 

 目標達成シートとは3×3の9マスを9つ(合計81マス)作り、それを埋めていきます。中心のマスに「夢(または到達すべき目標)」を置き、周辺の8つのマスにその夢を達成するための具体的な項目を書きます。

 

 「目標達成」、「問題解決」、「思考整理」、「情報整理」等様々な分野で利用できることが大きな特長。現在ではこの目標達成シートを元にして、様々な企業が独自のアレンジ等を施したフレームワークや手法も広がりつつあります。別名「9マスシート」「マンダラチャート」とも呼ばれている。

 

 マンダラ(曼荼羅)とは、仏教(密教)の世界における独自の世界観を視覚的に分かるよう表した絵画のことです。多くの場合、大日如来が主尊を中心に配置され、その周囲を諸仏諸尊が取り囲んでいる様子が繊細に描かれています。それをヒントにクローバ経営研究所の松村寧雄氏が考案したとされています(他説もあり)。

 

 彼は高校1年の時、佐々木監督の指導により目標達成シートを作成しています。中央の目標(夢)として「8球団からのドラフト1位指名」。それを達成するために必要な8つ項目要素に「体づくり」「コントロール」「キレ」「「スピード160キロ」「変化球」「運」「人間性」「メンタル」。さらにこれらを達成するため、できるだけ具体的な目標を書き込みました。

 

すべてが計画通りに進んでいる

 2021年のMLBオールスターでリアル二刀流としての出場。満票でのア・リーグ最優秀選手(MVP)受賞やベースボール・ダイジェストMVP、ベースボール・アメリカ年間MVP、AP通信社プレーヤーオブザイヤー、今年の男性アスリートなど計12に及ぶ賞を受賞。日本でも国民栄誉賞(辞退)、ユーキャン新語・流行語大賞など…。まさに受賞ラッシュとなりました。これは突然のブレイクなのでしょうか。

 

 大谷選手は高校3年の公式戦で高校最速となる160キロを投げ※2、ドラフトの目玉選手となりました。しかし、彼はその後MLB挑戦を表明。そのため、多くの球団が指名を避けた結果、日本ハム1球団のみの指名となり、「ドラフト1位指名8球団」という目標は達成されませんでした。しかし、それ以外は大谷選手にとっては「すべてが計画通りに進んでいる」結果といえるようです。

 

※2)プロ入り後は2016年のソフトバンクとのCS第5戦で日本球界最速の165キロを達成している。

 

運を引き寄せる男

 こうした野球選手として向上するための要素が並ぶのは想定内だが、注目すべきは下段の「運」「人間性」であろう。大谷選手は打席、四球で一塁に向かう途中、マウンドからダッグアウトに帰る途中、ダッグアウト内、練習中でも試合中でももしゴミが落ちていたら躊躇なく拾いユニホームの後ろポケットに入れます。この行為は地元メディアからも絶賛されました。「運」の「ごみ拾い」「審判さんへの態度」「応援される人間になる」「道具を大切に使う」「あいさつ」、「人間性」の「愛される人間」「感謝」「礼儀」「思いやり」なども高校時代から当たり前にやってきた行為なのでしょう。指導者の佐々木監督は教え子たちに「運は引き寄せることができる」「ゴミを拾うことで運を拾う」と教えていたとのことです。

 

二刀流誕生のきっかけ

 大谷選手が高校1年の時作成した目標達成シートはどこから見ても「投手」を意識したものと思えます。彼が高校2年の時の「座骨関節の骨端線損傷」という怪我で投げることができない時期がありました。しかし、彼は悲観することなく発想を切り替え、投手として練習ができないこの期間に打者として練習を積み重ね、その才能を開花させています。高校1年時の目標達成シートはその後何回もアップデートされ3年間で16枚のシートがあるとのことです。最初のもの以外は一般には公開されていませんが、おそらくは「二刀流」という項目も追加されていると考えられます。

 

目標達成シート作成のメリット

  • やるべきことが明確になる

目標を立てたとき漠然と頭の中だけで考えるだけでは不十分。視覚化することで行動に移しやすくなる。

  • 余計な思考時間を排除することで効率よく目標に近づける

すべきことが一目瞭然で、それに集中できる

  • 意外なアイデアや新しい発見がある

最初からすべてのマスを埋める必要はない。運用するうちに新しいアイデアが出たりアップデートしたりする。

 

目標達成シート作成のコツ(方法)

  • できるだけ具体的で明確な目標を設定する

  中心にくる目標は漠然としたものでもよいが、周辺の目標達成のために必要な要素はできるだけ具体的なものにする。

  • 達成可能な目標

  現在の自分から見て110~120%の努力で達成できそうな目標、または80%位の確率で成功しそうな目標が望ましい。

  余りに抽象的で大きすぎる目標だとやる気も起こらない。

  150%の努力が必要とか、50%の確率で成功しそうな目標だと、達成できなかった場合の挫折感が以後の継続を不可能にする。

  小さな目標から次第に大きな目標にアップデートするのがコツ。

  • 定量・数量化できる目標

  定量的な、数値化できるような項目にすることで精度の高いシートとなる。

  例えば「スピード160km/h以上※3」とか「〇〇を何回、週に◯回やる」などはっきりとしたものにする。

※3)大谷選手の場合、実際の練習場では163km/hであった。

  • 期限を設ける

  上記と同じ理由。やるからには「いつまで」を決めないとついつい先延ばしとなる。それは目標達成における大敵!

  • 最終的には全てのマスを埋める

  マス目は出来るだけ全て埋める。

  しかし、どうしても思いつかなかった場合はテーマ自体を変えたり、空白のままにしておき、後でマス目を埋めたりするのも方法もある。

 

 

 

 私の目標達成シート

 

 私は現在、RIレーシングという社会人レーシングスキーチームの末席を汚しています。私以外のチームメイトが目標達成シートを作成したとしたら、その中心は「国体出場」「マスター大会入賞」「草大会優勝・入賞」でしょう。私の場合そのような目標は明らかに無理と思えます。残念ですが、達成可能な目標の中心マスは「コーチの撮ったビデオ・写真で納得できるスキー」となるのでしょうか。そして、他の項目・要素は現時点では次のようなものになります…。今シーズンが終了するまでには全てのマスを埋めたいと思っています。