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果物は肥りやすい

 

 

 

果糖・果物に関するクイズ

 

果糖・果物に関する常識…正しい? 間違い?

  1. 果糖の別名はぶどう糖である。

  2. 果物(フルーツ)の糖質は果糖(フルクトース)でできている。

  3. 果糖(フルクトース)は果物(フルーツ)から作られている。

  4. 果物はいくら食べても肥らない。

  5. 果糖は血糖値をほとんど上げない。

  6. 果糖は糖尿病によい。

    (答えは最後に)

 

 

「果物」は太りやすい

 

 

 「果物はいくら食べてもよい」「果糖(*1)は血糖値を上げないから体によい」などとよく言われています。はたして、それらは正しいでしょうか?

 

 果物に含まれている糖質果糖、ぶどう糖、しょ糖(砂糖)(*2)です。ぶどう糖を摂取すると血糖値はすみやかに上昇します。しかし、果糖は血糖値をほとんど上昇させません(*3)。

 


 したがって、果糖を多く含む果物などは「糖尿病の人にピッタリの食べ物ではないか」と思われるかも知れません。ところが、そうではないのです。なぜでしょう?

「果糖」は肥りやすい
 果糖はぶどう糖に比べて中性脂肪に変わりやすく、結果として肥りやすい性質をもっています。その理由は果糖とぶどう糖は代謝経路が少し異なっているからです。

 


 果糖とぶどう糖は小腸から吸収され肝臓まで運ばれぶどう糖の代謝経路(*4)に入ります。この時、果糖はぶどう糖より速く代謝(処理)されます。しかも、中性脂肪の合成が促進する物質に代謝(変換)されます。 

 

 その結果、中性脂肪は脂肪肪細胞に貯えられメタボや肥満を促進することになります。確かに、果糖は血糖値を直接には上昇はさせません。しかし、糖尿病の人にとって必ずしも好ましい食べ物とは言えない訳です。
 

 

 

食べ過ぎに注意
 また、果糖を多く含む食品は食べ過ぎにも注意が必要です。ご飯やパンなどの穀物は食後に血糖値が上昇し、満腹中枢が刺激され食欲にブレーキがかかり、それ以上食べるのを止めます。ところが、果糖は血糖値を上昇させません。したがって、果糖のみの摂取では満腹中枢が刺激されず、ついつい食べ過ぎてしまいます。

 
 


 
高果糖コーシロップ
 
代表的な事例として、高果糖コーンシロップ(米国)を使用したジュースやコーラなどの清涼飲料があります。果糖含有率が高いので、さほど血糖値は上昇しません。したがって、満腹中枢が刺激されず、ついつい飲み過ぎてしまいます。

 高果糖コーンシロップとはトウモロコシなどのデンプンを酵素や酸で分解したぶどう糖の一部を化学的に果糖(フルクトース)にしたシロップ状の製品です。日本で開発されました。安く大量に作ることができるので、甘味の強い加工食品の材料(食品添加物)として食品業界に広く受け入れられ普及しています。 

 

高果糖コーンシロップ入りの食品
 フルーツジュース、コーラなどの清涼飲料だけでなく調味料・パン・アイスクリーム・缶詰・ジャムなど様々な食品に、私たちに分かりにくい形で使用されているようです。

 この強制的な「果糖の摂り過ぎ」は肥満、メタボ、脂肪肝、糖尿病の原因として注目されるようになりました。アメリカでは肥満の原因として社会問題にもなっています。 

 

 日本では高果糖コーンシロップは「異性果糖」とも呼ばれています。そのうち、「ブドウ糖果糖液糖」は果糖の割合が50%未満のもの、「果糖ブドウ糖液糖」は果糖の割合が50%以上90%未満のもの、「高果糖液」は90%以上のものをいいます。フルーツジュースや清涼飲料の成分表示に、単に「果糖」と表示されていた場合は、この高果糖コーンシロップに属する人工的な果糖の可能性があり注意が必要です。

 

 
 さらに、私たちが日常的に口にする様々な食品についても同じことが言えるかもしれません(*5)。
 

 

果糖とAGEs
 近年、体の老化促進物質の一つのであるAGEs(最終糖化物質)*6)が話題になっています。果糖はぶどう糖より速やかにAGEsを作ります。さらに、果糖からは毒性の強いAGEsが作られます。

 


 AGEsとは簡単に言うと、タンパク質の一部にぶどう糖や果糖がくっ付き、砂糖漬け(*7)状態になり変性・劣化したタンパク質のことです。このAGEsは動脈硬化、老化、認知症、骨粗鬆症、高血圧、がんに強く関係していることが分かってきました。
 

 

適量を
 このように果糖を多く含む食品や果物には注意すべき点があります。まず、果糖を添加した清涼飲料は避けた方が無難でしょう。また、果糖を多く含んでいる果物や果実ジュースの摂り過ぎは好ましいことではありません。
 しかし、生のままの果物なら水分含有量が多く果糖などの糖質の量はさほど多くはありません。また、ビタミン類も豊富で手に入りやすいといった利点もあります。果物は糖質の総量に注意しながら適量を食べるようにしましょう。 

 

一口メモ

 

*1)果糖は果物、蜂蜜などにぶどう糖・しょ糖と一緒に含まれている。ぶどう糖と同じ単糖類に属する。天然の糖類の中では最も甘く、しょ糖(ぶどう糖+果糖)の1.2~1.7倍の甘味を持つ。この甘味は温度により変化し、高温では甘味が減少する。ぶどう糖やしょ糖は温度による甘味の変化はあまりない。フルーツは冷やした方が甘く感じるのはこの性質による。事実、冷やすと甘く感じるフルーツには果糖が多く含まれている。例えば、ナシ、リンゴ、ブドウ、ビワ、スイカ等がそれに当たる。逆に、冷やしても甘さがあまり変わらない果物は果糖の比率が低め。例えば、モモ、カキ、ミカン、バナナ、パイナップル等が該当する。

 

 

*2)炭水化物とは糖質と食物繊維の総称。糖質には単糖類と小糖類、多糖類がある。

・単糖類…ぶどう糖、果糖、ガラクトース等。糖質の最小単位。

・糖質は単糖類にまで消化(分解)されて初めて小腸から吸収される。

・糖質の種類・分類

 

分類

種類

特徴

吸収

単糖類

ぶどう糖(グルコース)

体や脳のエネルギー源

果糖(フルクトース)

自然の糖類の中では最も甘い

ガラクトース

乳糖などの構成成分

小糖類

二糖類

スクロール(砂糖)

ぶどう糖 + 果糖。砂糖の主成分

×

マルトース(麦芽糖)

ぶどう糖 + ぶどう糖

×

ラクトース(乳糖)

ぶどう糖 + ガラクトース

×

オリゴ糖(二糖類以外の小糖類)

人ではほとんど消化できない

×

多糖類

でんぷん

植物のエネルギー貯蔵糖質

×

グリコーゲン

動物のエネルギー貯蔵糖質

×

 

    

注)二糖類もオリゴ糖に含める分類もある。その場合、小糖類のことをオリゴ糖と言う。

 

 

*3)血糖値…血液中のぶどう糖の濃度のこと。果糖(フルクトース)とは無関係。したがって、果糖を摂取しても血糖値はほとんど上昇しない。

 

 

*4)ぶどう糖や果糖は肝臓でグリコーゲンや中性脂肪として蓄えられ、必要に応じてブドウ糖として放出される。

 

 

*5)しょ糖(砂糖)はぶどう糖と果糖が結合した二糖類。天然の果糖はフルーツや蜂蜜などに、しょ糖と一緒に含まれている。そのフルーツ・蜂蜜やしょ糖から果糖のみ抽出することは手間と経費がかかる事である。したがって、天然の食品から抽出された果糖を食品に添加しているとは考えない方が無難であろう。

 

 

*6)AGEs(最終糖化物質)…コレステロールや中性脂肪が多い高脂血症は「ドロドロ血液」と言われる。血糖値が高い状態は「ネバネバ血液」と例えられる。一度くっ付いた「ネバネバ糖」はそのタンパク質から離れず、それを変性・劣化させAGEs(最終糖化物質)となる。糖尿病治療のコントロールの指標として使用されるHbA1c(ヘモグロビン・エー・ワンシー、グリコヘモグロビンA1c)もAGEsの一つ。

 

*7)例えば綿飴大学芋など。「ネバネバ、ベトベト」していませんか?

漬物は「塩漬け」、AGEsは「砂糖漬け」のイメージ。

 

 

果糖・果物に関するクイズの答え

 

  1. × 果糖(フルクトース)は果物(フルーツ)に多く含まれていることから命名された。 ぶどう糖(ぶどうから発見)とは別の単糖類。

  2. × 果物の糖質はしょ糖(砂糖)と果糖が主成分。

  3. × 最近は、果糖(フルクトース)はでんぷん(コーン、イモなど)から作られている。

  4. × 果物は食べ過ぎると肥りやすい。

  5. ○ 血糖値とは血液中のぶどう糖の濃度のこと。果糖とは無関係。

  6. × 果糖は血糖値を上昇させないので糖尿病に好ましいと誤解されることが多い。

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