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本当に危ない人工甘味料(その2)

あなたは人工甘味料スクラロースの正体を知っていますか?

 

 

 

スクラロース

 

 スクラロース(sucralose)はショ糖(砂糖)の600倍の甘さを持つ人工甘味料です。消化管で消化・吸収されず、そのままの形で便中に排泄されるためエネルギー(カロリー)はゼロです。すなわち、摂取しても血糖値は上がりません。また、動物とヒトへの実験・研究からは発がん性や生殖系への影響はないとされています。はたして、本当でしょうか?

 

 スクラロースは、やや後を引くものの、ショ糖に近い自然でまろやかな甘さが特徴です。他の糖類や、高甘味度の甘味料との併用により甘味度、甘味質とも増強する傾向があり、しばしば他の甘味料と併用される形で清涼飲料水やアイスクリームなどに使用されています。また、甘さを付与する以外に、酢カド(註1を取り除く酢なれ(註1)、塩のシャープな味(塩カド(註2))を和らげる塩なれ(註2)、豆乳などの豆臭の緩和、エタノールの刺激を緩和する作用などもあります。微量添加することにより辛み・乳感・ボディ感(コク・深み)の増強効果があります。

 

 1991年にカナダで食品への使用が認可。その後、オーストラリア、ニュージーランド、米国、EU諸国に続き、日本でも1999年7月に食品添加物に指定され、現在世界80カ国以上の地域や国で使用されています。この人工甘味料は急成長中で、現在日本ではコーラなどの清涼飲料水、アイスクリーム、ガム、デザート、ドレッシングなど1万1000品目を超える飲食物や医薬品・健康食品などに使用されています。米国ではスプレンダ(Splenda)(註3)という商品名で砂糖代わりに売られています。プレンダは日本では未発売ですが、平行輸入(通販)で入手可能です。

 

 

農薬の開発中に偶然発見されたスクラロース

 スクラロースはショ糖に有毒の塩素を反応させた有機塩素化合物(註4)です。この人工甘味料はある偶然から誕生しました。1976年、ロンドンのクイーン・エリザベス大学でショ糖の化学装飾に関する実験が行われていました。その中の一つが、毒性のある塩化スルフリル SO2Cl2にショ糖溶液を加えて農薬(殺虫剤)を開発するための実験でした(真偽の程は不明です。単なる「うわさ」かもしれません)。若い化学者が電話で教授に実験成功の報告をしたところ、教授はその物質の性質などを“test”しておくよう言いました。しかし、彼は“taste”と勘違したため、その物質を舐めてしまいました。結果は、何と「甘かった」のです。その後、英国の製糖会社テイト&ライル社 (Tate&Lyle PLC(註5))と共同でスクラロースが開発・製造されることになりました。若い研究者さん、無事でよかったですね。

 

 人工甘味料のスクラロースと天然のショ糖(砂糖)の主成分スクロースの化学構造式はある一点を除くと共通です。スクロース(ショ糖)の化学式はC12H22O11で、単糖(註6)のグルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)が結合した二糖(註7)です(図1)。一方、スクラロースの化学式はC12H19Cl3O8で、4,1′,6′-トリクロロガラクトスクロースとも呼ばれています。スクロースの8つの水酸基(ヒドロキシ基、-OH)(註8)のうち3つを選択的に塩素(Cl)で置換しています(図2)

 

 考えてもみてください。一体誰が塩(NaCl)以外に塩素の入った食品(食品添加物)を作ろうと考えるでしょうか? しかも、炭素原子に塩素原子がくっ付いた物質を! これは後述の有毒のオルガノクロライド(organochloride)です。

 

 スクロースとスクロースは名前がよく似ています。前述のスクラロースの発見・開発経過からして当然のことながら、基本構造がスクロースと同じだから、このような名前になりました。間違えないようにしましょう(註9)

 

 

■スクラロースの10~30%は吸収される

「スクラロースは消化管で消化・吸収はされない」 ☛ はたして、本当か?

 

 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会資料のスクラロースの体内動態に関する報告からの一部抜粋です(資料1)。1)10~30%が尿中に排泄される、2)肝臓や腎臓にスクラロースが分布する、と記載されています。一体全体なぜ、体内に吸収されないものが、肝臓や腎臓、尿中に存在するのでしょうか? 明らかに、大いなる矛盾です。さらに、2)「脳内への分布は低い」とも明記されています。スクラロースはBBB(血液脳関門)を通過して神経系へも移行するようです。神経系へ移行したスクラロース中の塩素原子(Cl)、もしくは有機塩素はどうなるのでしょう? 想像するだけでも怖いですね。

 

 スクロース(ショ糖、二糖)は小腸で加水分解(消化)されグルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)という単糖になり、吸収され血液に入り肝臓を経て解糖系という経路で代謝されます。一方、スクラロースは糖(類)ではありません。従って、一部の水酸基が塩素で置換されたグルコース(類似物)やフルクトース(類似物)の様には分解(消化)されないため、「小腸(消化管)からは吸収されない」とされています。しかし、「尿中に10~30%が排泄される」ということは「10~30%は消化管から吸収されている」と考える方が科学的ではないでしょうか。少なくとも、その疑いは持つべきです。なにしろ、有毒の有機塩素が体内に入るのか入らないのかの問題ですから! ただし、スクラロースの消化管からの消化・吸収メカニズムは、今のところよく分かっていません。☛ 次項

 

資料1

スクラロースに関する薬事・食品衛生審議会資料より一部抜粋(日本食品化学研究振興財団 平成11年04月05日)

体内動態

  1. 吸収・排泄-スクラロースを経口投与した場合、マウス・ラット・イヌ・ヒト間で吸収・排泄・血中動態に差はほとんどないことが示唆されている。排泄に関しては、種によってばらつきがあるものの、およそ60~90%が糞中に排泄される。残りの10~30%は尿中に排泄され、呼気中への排泄はほとんどない。…(後略)
  2. 分布-ラットにおいて、放射性標識化合物を用いた経口投与による検討では、腸管を除くと、臓器中では肝臓や腎臓が最大値を示したが、24 時間後には血漿レベル以下になった。脳内への分布は低い
  3. 代謝-ラット・イヌ・ヒトにおいて検討した結果、スクラロース経口投与後の尿及び糞中排泄物は、ほとんどが未変化体であったが、イヌ尿中に解毒過程の代謝によるグルクロン酸抱合体が代謝産物の一つとして同定されている
  4. その他-ヒトにおいてスクラロースは、ショ糖吸収を阻害しない。また、インスリン分泌を増加しない

 

■スクラロースは体内(消化管)で代謝され代謝産物は脂肪組織に蓄積される

 

 前述の資料1の3.を見てみましょう。「ほとんどが未変化体であったが、・・・」とあります。「ほとんど」とは「全て(100%)」ではありません。また、「一部は代謝される」と明記されています。その場合、有毒の塩素は体内でどのように代謝・処理されるのでしょう?

 

 2018年の研究報告(フォルカー・ボルネン ラットの脂肪組織におけるスクラロースの腸代謝と生体蓄積 2018年8月 毒物と環境保健学会誌)です。平均投与量80.4㎎/㎏/日のスクラロースを40日間、10匹(雄5匹、雌5匹)のラットに投与。投与量は北米、ヨーロッパ、およびアジアの規制承認のために提出された歴史的毒物学研究で利用された範囲内。従来の検出法(抽出法)とは異なる方法に加え、より高感度の検出装置(超高性能液体クロマトグラフィータンデム質量分析(註10))で分析。これまで報告されていなかった2つの新しい生物形成転換産物が明らかになった。これらの代謝産物は極性(註11)が低く、したがって親油性(脂溶性)(註12)のスクラロースのアセチル化形態(註13)であった。これらの代謝産物はスクラロースの投与期間を通じて尿および検便に存在し、投与中止11日後またはスクラロース代謝産物が尿または便で検出されなくなった6日後に、ラットの脂肪組織でアセチル化されたスクラロース代謝産物が残存しているのが確認された。

 

 スクラロースのアセチル化のメカニズムは今のところ不明。ある種の腸内細菌は異種化合物をアセチル化することが知られている。これはスクラロースの消化管からの消化・吸収の機序・経路の一つとも考えられている。

 

 スクラロースの代謝産物(アセチル化スクラロース)の一部にはメタノールに不溶なものがある。スクラロースの規制承認が行われた当時はスクラロースの溶媒にメタノールを使用していた。そこで、メタノール以外にも酢酸エチルやアセトンなどの溶媒も使用。また、従来の低感度の検出装置を高感度の検出装置に変更。その結果、新たにアセチル化されたスクラロース代謝産物が発見された。しかも、尿・便中で検出されなくなった後でも脂肪組織での残存が確認された。研究者は「この有機塩素人工甘味料の安全性を再検討する時が来たかもしれない」とコメントしています。

 

 

■インスリン分泌への影響

 

 「スクラロースはインスリン分泌を増加させない」 ☛ はたして、本当か?

 

 スクラロースなどの人工甘味料は血糖値の上昇もなく熱量も無視できる程度であるにもかかわらず、肥満や糖尿病と関連します。その理由として、これまでは人工甘味料の利用による節減エネルギーを過大評価したり、摂取エネルギーを節減できたことに安心したりすることで、余分に食べ過ぎてしまうのではないか、という心理的な面が考えられていました。しかし近年、人工甘味料の味覚に及ぼす生理的反応による摂食行動への影響以外にも、次のような可能性が報告されています。

 

①日常の食事の中では、甘味の感覚に続いて血糖値が上昇することが条件付けされている。しかし、人工甘味料の場合は甘味の後に血糖値の上昇が起こらないため、脳(神経)と身体の間に乖離(混乱)が生じる。それを是正するため摂食中枢から「摂食命令」が発令され、食事をすることにより血糖値を上昇させようとする。それが過食に結び付き肥満となる。当然、過食によりインスリン分泌は亢進し糖尿病発症の引き金となる。

 

②人工甘味料の強い甘味に慣れると、甘味に対する感覚が鈍磨し「より強い甘み」を求めるようになる。すなわち、甘みの悪循環に陥る。

 

③味覚を感じる細胞が舌だけでなく腸管にも存在することも明らかになった。腸管で甘味を感じると腸からインクレチンというホルモンが分泌される。インクレチンは膵β細胞を刺激しインスリン分泌を亢進させる。また、腸管からの糖の吸収を促進する。

 

 

■高温で塩素ガスを発生

 スクラロースには1分子当たり有毒な塩素が3つ、重量比ではスクラロース100g中に塩素26.7gが含まれています。さらに、それが炭素原子にくっついています。これを化学的にはオルガノクロライド(organochloride)といい、ダイオキシン(註14)、DDT(註15などの農薬やPCB(註16)に近いものとなります。食品の中でオルガノクロライドが含まれているもので、摂取許可が下りたのはスクラロースが最初で、今のところ只一つです

 

 有機塩素化合物のスクラロースは138℃を超えて加熱すると有毒な塩素ガス(HCl)を発生するとされています。このことは発売当初より危惧されていました。しかし、日本をはじめ米国、EU諸国などではスクラロースは未だに認可されたままです

 

 2019年4月9日、ドイツのリスク評価研究所(BfR、Bundesinstitut für Risikobewertung)は甘味料スクラロースが加熱された場合のリスクに関する意見書を公表しました。概要は以下の通りです(資料2)

 

 

資料2

  • スクラロース(E955)は欧州連合(EU)で認可されている甘味料である。BfRは、スクラロースの安定性や、高温状態での有害性塩素化合物の生成に関する最新データに基づき評価を行った。
  • 入手可能なデータによると、スクラロース、特に缶詰の野菜又は焼き菓子などのスクラロースを含む食品を加熱すると有害物質(一部は発がん性が考えられる)が生成される可能性があることが示された。
  • スクラロースは120を超えて加熱され続けると、温度上昇に伴い甘味料の分解と脱塩素化が起こる。120~150は食品の工業的製造や加工工程で達する温度だが、スクラロースを含む食品を一般家庭でも加熱調理したり焼いたりする場合でも達し得る。その場合、健康にとって有害となり得る有機塩素化合物(ポリ塩化ジベンゾ-p-ジオキシン類(PCDD)、ジベンゾフラン類(PCDF)及びクロロプロパノール類)の生成に繋がると考えられる。
  • しかし、現時点で最終的な結論を導き出すにはデータが不十分である。スクラロースを含む食品が120℃を超えて加熱された時に毒性反応の副産物として生成される物質及び量の詳細は不明確である。更に、リスク評価の領域における暴露推定を行うには、このような製造工程で作られる食品中のこれらの物質濃度に関する代表的なデータが必要である。
  • 欧州食品安全機関(EFSA)においても、現在、委員会規則(EC)No.1333/2008及び欧州連合(EU)規則No.257/2010に沿って、食品添加物としてのスクラロースの認可に関する評価見直しが行われている。当該評価の結果はまだ定まっていない。結論となるリスク評価結果が入手可能となるまでは、BfRは、スクラロースを含む食品を、焼く、高温で揚げる、ローストする際に、塩素ガスが発生する120℃~250℃に達する温度まで加熱しないこと、または加熱後にのみスクラロースを添加することを推奨する。これは、一般消費者にも食品製造業者にも適用される。

 

■まとめ

  • スクラロースはショ糖(砂糖)の600倍の甘さを持つ人工甘味料。農薬(殺虫剤)の開発実験中に偶然発見された甘味を有する物質を基に製品化された。
  • スルラロースは1分子中に3個の塩素原子を含んでいる有機塩素化合物。
  • 有機塩素化合物のうち食品添加物として認可されているのはスクラロースのみ。
  • スクラロースは消化管から消化・吸収されないとされているが、尿中に10~30%は排泄されている。
  • 尿中に排泄されるということは、間違いなく消化・吸収されていると考えるのが科学的。
  • ただし、その消化・吸収の機序は今のところ不明。
  • スクラロースの代謝産物は脂肪組織に蓄積される。
  • スクラロースはカロリーゼロではあるが、過食を生じ肥満を引き起こす傾向がある。
  • スクラロースは消化管からインクレチン分泌させる。インクレチンはインスリン分泌を亢進する。
  • スクラロースを138℃以上の加熱すると有害な塩素ガス(HCl)を発生する。
  • スクラロースの入った食材や食品を高温で加熱することは避けた方がよい。

 

 

註解

1)、2)酢カド、塩カド、酢ナレ、塩ナレ

①カド:食品の味づくりの過程では様々な「カド」がある。例えば、刺激的な酸味・酸臭として感じる「酢カド」、ピリッと舌を直接刺激するような「塩カド」、コーヒー、柿渋などで渋味・えぐ味として感じる「苦味カド」、アルコール独特の刺激味の「アルコールカド」、発酵期間が短い味噌・醤油で感じる「発酵物のカド」など様々。そして、これらの「カド」は、味作りに際しては好ましくない味とされることも多く、その突出した風味により、味がまとまらなくなるといった課題がある。

 

②ナレ海水の塩分濃度は約3.5%、濃口醤油は約16%。その差は約5倍だが、実際に口に入れた時の感じ方としてはそれほどの差は感じない。むしろ、海水の方がしょっぱいと感じる人が多いかもしれない。塩の成分をみてみると若干のミネラル分と大多数しめるのが塩化ナトリウム。そのため、塩味をダイレクトに感じる。醤油には塩味のほかに、うま味や甘味、苦味、酸味など様々な要素が溶け込んでいるので、しょっぱく感じ難くなっている。

 

3)スプレンダ(Sprenda):米国のマクニール社が発売している低カロリー甘味料。成分の99%は多糖類の一種であるマルトデキストリンで残りの1%がスクラロース。マルトデキストリンはグルコース(ブドウ糖)がα1,4グリコシド結合で3~19個繋がっている。マルトデキストリンはデンプンから酵素によって作られる。米国ではコーンから作られており非常に安価。しかし、甘みがほとんどないため、高価なスクラロースを極少量(1%)加えて甘みを増している(全体的には砂糖より安価)。日本での発売はない。並行輸入(通販)で入手可能。

スプレンダはゼロカロリーと表示されているが、実際はショ糖(砂糖)と同じくらいのカロリー(エネルギー)がある。米国では通常消費基準量および表示分量中5kcal未満はゼロカロリーと表示できる。

 

4)有機塩素化合物:炭素と結合した塩素を構成原子として含む有機化合物のこと。大半が人工的に合成されたもので、自然界にはほとんど存在しない。熱に強く、油をよく溶かし、生物への毒性が高いといった特色を持つことから、絶縁体や殺虫剤としてさまざまな分野で利用された。こうした利便性がある反面、自然環境や生態系、人体への毒性が高いため、一部の物質は国際的に規制されている。例えば、オゾン層を破壊するフロンガスの原料トリクロルエチレンは有機塩素化合物の一種。PCBやダイオキシン類などの製造・使用・輸出は禁止されている。また、トリクロロエチレンやテトラクロロエチレンなどの揮発性有機塩素化合物による土壌・地下水汚染も問題となっている。

 

5)PLC:公開有限会社(public limited company、法的にPLCと略される)は、イギリスの会社法およびイギリス連邦の一部、アイルランドにおける会社形態の一種。株式が自由に取引される有限責任会社で、公開株式(他の公開有限会社によって非公開に保有される場合もある)会社である。最少資本金は50,000ポンドで、社名の後に「PLC」が付加される。

 

6)単糖:単糖は糖質(炭水化物)の最小の単位であり、加水分解によってそれ以上分解できない。多くは(CH2O)nで表せる。文字通り「炭水化物」である。n(炭素数)は3~8で、多くの場合は5~6。炭素数6の単糖のなかでもグルコース(glucose,ブドウ糖)やフルクトース(fructose、果糖)、ガラクトース(galactose)などが最もよく知られている。この単糖が複数重合することで、二糖(単糖が2個)、オリゴ糖(単糖が3~19個)や多糖(単糖が20個以上)といわれる糖質になる。

 

7)二糖:2個の単糖がグリコシド結合により連結されてできる。。代表的な二糖にはグルコースとフルクトースからなるショ糖(スクロース)、グルコースとグルコースからなるマルトース(麦芽糖)、ガラクトースとグルコースからなるラクトース(乳糖)などがある。

 

※)一口メモ:二糖の覚え方 ☛ ぐるぐる回る主婦が楽

ぐる(グルコース) ぐる(グルコース) (マルトース)わる しゅ(スクロース) (フルクトース) 

(ガラクトース) らく(ラクトース)

 

8)水酸基(ヒドロキシ基、hydroxy group):有機化学において構造式が−OH と表される1価の官能基。官能基同士の水素結合が可能。水素結合により水と親和性(親水性)を示す。

※)官能基:有機化合物中にある特定の原子団によって決まる。この有機化合物特有の性質や反応を特長づける原子団や結合様式のことを官能基という。同じ官能基をもった有機化合物は、互いに性質がよく似ており同族体と呼ばれる。

 

9)スクロースとスクラロースの表記:砂糖の主成分はショ糖(スクロース)。スクロースと人工甘味料のスクロースは一文字違うだけで、一般消費者にとって非常に紛らわしい。誤解を避けるため、一般的には砂糖・ショ糖を指す場合はスクロースという用語は使用せず、ショ糖または砂糖と表記されている(はず)。

 

10)(超高性能)液体クロマトログラフィタンデム:高速液体クロマトグラフ(HPLC、High performance Liquid Chromatography)とは、「液体の移動相をポンプなどによって加圧してカラムを通過させ、分析種を固定相及び移動相との相互作用(吸着、分配、イオン交換、サイズ排除など)の差を利用して高性能に分離して検出する」分析方法。

 

タンデム(tandem)とは、本来直列二頭立の馬車のこと。質量分析計が2台直列に結合され、その間に衝突活性化室を持つ装置のこと。

 

11)極性(polarity):分子または化学結合において、正負の電荷の分布が不均等であること。例えば水(H2O)の場合、酸素(O)の原子核は水素(H)の電子を引き付けるため、酸素は負の電気的な偏りを持ち、逆に水素は正の電気的偏りを持つことになる。

 

12)脂溶性(lipophic):水に対する親和性が低い、すなわち水に溶解しにくい、あるいは水と混ざりにくい物質、または分子(の一部分)の性質のこと。疎水性物質は一般に、電気的に中性の非極性物質であり、分子内に炭化水素基をもつ物質が代表的である。脂質や非極性有機溶媒との親和性を示す。

 

油性(lipophilic)も同義で用いられることが多いが、疎水性物質が全て親油性であるとは限らない。例えば、シリコーンやフルオロアルキル鎖を持つ化合物などの例外もある。

対義語は「親水性(hydrophilic)」。一般的に極性の高いまたは電荷を有する化合物は親水性を示す。

 

13)アセチル化(acetylation):有機化合物中の水素原子、特にアミノ基-NH2または水酸基-OHの水素をアセチル基-COCH3で置換する反応。

 

14)ダイオキシン類(Dioxins and dioxin-like compounds):ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン(PCDD)、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)、ダイオキシン様ポリ塩化ビフェニル(DL-PCB)の総称である。これらは塩素で置換された2つのベンゼン環という共通の構造を持ち、類似した毒性を示す。ダイオキシン類は塩素を含む物質の不完全燃焼や、薬品類の合成の際、意図しない副合成物として生成する。ベトナム戦争時に大量に散布された枯葉剤に不純物として混入していたため汚染をもたらし深刻な社会問題となった。

 

15)DDTdichlorodiphenyltrichloroethane(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)の略。かつて使われていた有機塩素系の殺虫剤、農薬。1981年に化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の第一種特定化学物質に指定され製造と輸入が禁止されている。2001年に採択されたストックホルム条約において、残留性有機汚染物質(POPs) に指定された。

 

16)PCBポリ塩化ビフェニル(polychlorinated biphenyl)またはポリクロロビフェニル(polychlorobiphenyl) は、ビフェニルの水素原子が塩素原子で置換された化合物の総称で、一般式 C12H(10n)Cln(1≦n≦10) で表される。置換塩素の数によりモノクロロビフェニルからデカクロロビフェニルまでの10種類の化学式があり、置換塩素の位置によって、計209種の異性体が存在する。略してPCB(ピーシービー)とも呼ばれる。生体に対する毒性が高く、脂肪組織に蓄積しやすい。発がん性があり、また皮膚障害、内臓障害、ホルモン異常を引き起こすことが分かっている。