>医療法人 啓眞会 くにちか内科クリニック

糖尿病足病変

 

1.糖尿病と足病変

糖尿病足病変は足の白癬菌症(水虫)から足潰瘍、壊死・壊疽(えそ)(*)まで幅広い病変が含まれます。糖尿病による1)神経障害、2)血流障害、3)易感染性をもとにして、靴擦れや小さな傷、やけどなどをきっかけに発症します。

足病変で壊死や壊疽まで進行すると、足趾や下肢切断が必要となることがあり、生活の質(QOL)が著しく低下します。毎年3000人が糖尿病による壊疽のため足切断に至っています。

足切断後は寝たきりになることが多く、その後の生命予後(いつまで生きられるか)まで短くなってきます。糖尿病患者の足切断後の生存率は3年で50%、5年で40%との報告もあります。

2.糖尿病足病変の原因

1)神経障害

糖尿病に合併する神経障害には感覚神経障害、運動神経障害、自律神経障害があります。その全てが足病変の原因となり得ます。

  • 感覚神経障害:糖尿病足病変において特に注意が必要です。感覚神経障害は下肢に多く見られ、感覚が鈍くなったり異常感覚をもたらしたりします。その結果、靴擦れ、深爪、低温火傷などによる痛みを感じにくくなり、発見が遅れ感染を合併し潰瘍や壊死・壊疽まで進行してしまう大きな原因となります
  • 運動神経障害:運動神経が障害により下肢や足裏の筋力が低下し歩行の異常やアーチ構造のバランスが崩れ、様々な足の変形や関節の変形が生じます。これらの異常は足の損傷の危険性を大きくします。
  • 自律神経障害:自律神経が障害されると下肢の発汗が障害され、皮膚の角化やひび割れが生じやすくなります。

2)血流障害

糖尿病は太い血管(大血管)にも細い血管(細小血管)にも動脈硬化を引き起こします。それにより下肢の血行が悪くなり、組織の酸素不足、栄養不足が起こります。傷が治りにくくなり、潰瘍や壊疽などに進行しやすくなります。

3)易感染性

高血糖状態が持続すると免疫力が低下し、皮膚をはじめとした全身の細菌感染が起こりやすくなります。

4)その他

これらに加え、喫煙、不眠、加齢、不衛生、ストレス、性差(男性)などがあると、足病変を発症するリスク(危険性)はますます高くなります。

3.放置すると悪化する

早めに手当てをすればすぐに治る程度のケガでも放置してしまうと、神経障害による発見の遅れや過小評価、動脈硬化による血流障害、抵抗力の低下・易感染性でなかなか治りません。

このような状態を放置していると、潰瘍ができ、さらに壊死・壊疽に進展していきます。最悪の場合、足趾・下肢の切断が必要となります。

4.あなたの足は大丈夫?

足病変が悪化して壊死・壊疽から足切断に至らないようにするためには、病変を早期に発見し適切に対応する必要があります。しかし、重症化阻止の要となる神経障害は自覚症状に乏しく、患者さん自身で神経障害があるかどうかを判断するのは困難です。専門医の診断を受けないと正確な判定は難しいものです。そこで、そのリスクを簡単に評価する方法として下のAAA(*)スコアが考案されました。合計点が7点以上の人は足病変のリスクが高いため注意が必要です。定期的な足チェックを心がけましょう。

 

 

 

 

 

 

 

5.大切な毎日の足チェック

① 見た目(変形、変色、キズ、むくみ)はどうですか?

② 温度(一部だけ冷たい、熱を持っている)はどうですか?

③ におい(悪臭)はどうですか?

④ 感覚(痛み、かゆみ、しびれ、鈍り)はどうですか?

 

もし、何か異変を見つけたら、主治医に相談しましょう。タコやウオノメを自分で取るのは危険です。また、巻き爪など自分で爪を切りにくいときは無理をせず、医療機関で切ってもらいましょう。

6.足を守る毎日の習慣

足病変が起こらないよう、正しい知識を持ち、日頃から足のケアをする習慣を身につけましょう。

① 足のサイズ・形にあった靴を履きましょう

・靴擦れにならないよう、柔らかくて通気性のある素材の靴を履く

・サンダルやヒールの高いものは日常的に履かない

② 靴を履く前には、中に小石などが入っていないかを必ずチェックしましょう

③ 家の中でも素足にならず、いつも靴下を履いていましょう

 ・靴下は毎日必ず履き替え、足を清潔に保ちましょう

 ・雨で濡れた時は、足をよく乾かし、新しい靴下に履き替えましょう

④ 火傷やケガに注意しましょう

 ・お風呂は手や温度計で湯加減を確かめてから入りましょう

 ・湯たんぽやホットカーペットなどの「低温やけど」にも要注意です

⑤ お風呂上りは足をよく乾かし、クリームなどで保湿しましょう