>医療法人 啓眞会 くにちか内科クリニック

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たかが便秘されど便秘 弛緩性便秘

 

 

 

あなたは便秘ですか?

 

1)あなたは便秘ですか? 

2)あなたの悩みは便秘と関係があるかもしれません。 

3)便秘のタイプにより対処方法が異なります。あなたの便秘どのタイプ? 

下の1)2)⇒3)をチェックしてみてください。

 

 

あなたの便秘のタイプは?

 

 上のセルフチェックは先月、先々月号と同じです。前2回の1)2)3)でどこにもチェックが付かなかった方は、これ以降は読んでいただく必要はありません。

 便秘はその原因により下の3種類に分けられます。チェックが多い所があなたの便秘のタイプです。なかには2種類、3種類の便秘が併発している場合があります。

 

A:直腸性便秘(スーパー便秘) 

B:痙攣性便秘(ストレス型便秘、過敏性腸症候群) 

C:弛緩性便秘(普通の便秘) ⇒ 今回のテーマ

 

 

 

弛緩性便秘

 

 弛緩性便秘は日本人に多いタイプの便秘です。腸の蠕動が弱くて便がなかなか先に進まないために起こります。通常、単に「便秘」と言ったら、この弛緩性便秘を指します。

 

 この弛緩性便秘は腹筋が弱い女性に多く認められます。10代の思春期から始まることも特徴です。また運動不足の男性にも、高齢になると男女を問わず認められます。

 

弛緩性便秘の症状

 弛緩性便秘の特徴的な症状は次の通りです。

 

■腹痛は少ないが、お腹が張る

 

 前回・前々回のテーマの直腸性便秘や痙攣性便秘の特徴的な症状は腹痛です。しかし、弛緩性便秘は「腹痛」はありません。そのかわり特徴的な症状が「お腹が張る」ことです。

 

 便秘により腸内に不要な便がたまると悪玉菌が増えてしまいます。悪玉菌が増えると有害ガスも増加しお腹が張ってきます。

 

 お腹の張りは食欲にも影響を及ぼし食欲がなくなってしまいます。そして、精神的にも悪影響が出てきます。

 

■硬く太いコロコロとした便

 

 弛緩性便秘の便は「硬い」「太い」「コロコロ」の3つが特徴です。やっと出た便でもコロコロとしたもので1つ1つが硬く、太くなっています。

 

 硬い便は「痔」の原因となります。便が出にくいため、ついつい力んでしまいます。その結果、「便秘+痔」の2つの悩みを抱えることにもなります。痔予防のためにも、できるだけ早く弛緩性便秘を解消するようにしましょう。

 

■肌荒れ

 腸の健康は美容にも直結します。慢性的な便秘状態では腸の善玉菌が減少し悪玉菌が増加します。悪玉菌が作り出した毒素は血液やリンパを通して体中に運ばれていきます。肌の美しさは身体全体が健康であることで得られます。腸が健康でなければ肌の健康も保つことはできません。

 

 

弛緩性便秘の原因

 

■筋力低下

 弛緩性便秘の直接的な原因は、排便で息む時に使う腹筋が弱くなることです。運動不足や加齢、無理なダイエットなどにより筋力が低下すると、排便の時の息む力が弱くなります。同時に、スムーズな排便に必要な腸の蠕動運動も弱くなってしまいます。

 

■ 内臓下垂

 また、腹筋が弱くなると内臓が垂れ下がってきて、胃下垂、大腸下垂になりやすくなります。下垂は腸の緩みを加速させ蠕動運動が起こりにくくなります。

 

■食物繊維不足

 食物繊維は腸の蠕動運動を促進します。また、便そのものの量も増えるため排便がスムーズになります。したがって、食物繊維が不足すると便秘になりやすくなります。また、食物繊維は善玉菌の餌となり腸内環境を整え蠕動運動を促進します。食物繊維が少ないと悪玉菌が増え、腸内環境が悪化し蠕動運動が抑えられ便秘になってしまいます。さらに、食物繊維だけでなく食べる量自体が少ないと蠕動運動が起こりにくくなります。

 

 若い女性の場合の無理なダイエットで便秘になりやすい主な理由です。

 

■水分不足

 便秘は、ただ単に便が出ないばかりでなく、「便が大腸内に長期滞在すること」でもあります。すると、その間に便から水分が奪われ、硬さを増してしまいます。硬くなった便はさらに排出が困難となり便秘へとつながります。

 

 

 

弛緩性便秘の解消法

 

 慢性になっている弛緩性便秘はセルフケアで解消することができます。便秘薬に頼らず毎日コツコツと地道に努力すれば自然と便秘から解放されます。時間がかかりますが辛抱づよく努力してください。

 

 便秘薬を常用すると腸が便秘薬に慣れてしまい、自力で排便できなくなってしまう可能性もあります。

 

■ 適度な運動

 筋力不足が直接的な原因となる弛緩性便秘を改善するためには、腹筋を鍛えたり運動で体調を整えたりすることが大切です。普段から運動をしていない人は軽めのウォーキングストレッチから始めてください。毎日ストレッチをするだけでもおなかに刺激を与えることができます。軽い運動で心身が整えられ蠕動運動をつかさどる自律神経(副交感神経)が優位になります。

 

■おへそのぞき腹筋

 普段運動をしていない女性が腹筋を鍛える時は、仰向けに寝ておへそをのぞき込むような形で上体を持ち上げるだけでも腹筋は強化されます。

 

■さかさ自転車こぎ

 仰向けに寝て両腕で背中を支えるようにして下半身を真っ直ぐに上に伸ばすように高く持ち上げます。この姿勢をキープするだけでも腸が動かされますが、自転車をこぐように脚を大きく動かすことで更に腸に刺激を与えます。ただし、ハードな運動なので無理をしないようにしましょう。

 

 


②  
お手軽! お腹のマッサージ

 お腹のマッサージで優しく腸を刺激して腸の蠕動運動を促しましょう。

  • おへそまわりのマッサージ

 立ったまま、またはトイレに座った状態で、おへそを中心に時計回りに「の」字を描く様に軽く押しながら擦ります。回数は10回位、強く押す必要はありません。腸の便の流れに沿うようなマッサージで自然な排便を促す効果があります。

 

  • ごろごろマッサージ

 うつ伏せになり5回位、左右にゴロゴロと寝返りを打ちます。腸に適度な体重を掛けることができ、複雑な形をした腸をうまくマッサージすることができます。

 

③  ロダンの考える人の排便姿勢

 

 トイレに座って上半身を前かがみ(約35度)にすると便が出やすくなります。ロダンの「考える人」をイメージしてみてください。(院長の独り言:第36号 2016年7月号 参照

 

 

 

④  食物繊維を積極的に摂る

 食物繊維には水に溶けず水分を吸収して膨張する不溶性食物繊維と、水に溶け腸内の水分を巻き込んでゲル状にして便を柔らかくする水溶性食物繊維があります。ただし、便秘の時に大量の不溶性食物繊維を摂りすぎると、かえってガスが溜まってお腹が張り苦しくなることがあり注意が必要です。したがって、便秘の時は水溶性の食物繊維を多めに摂るようにしましょう。(院長の独り言:第35号 2016年6月号 参照

 

 また、善玉菌の餌になるオリゴ糖を加えるのも効果的です。

 

 

 

 

 

⑤  発酵食品、乳酸菌食品を積極的に摂る

 発酵食品や乳酸菌食品は善玉菌の餌になります。(院長の独り言:第35号 2016年6月号 参照

 

 

 

⑥  水分をこまめに補給する

 健康な便には70~80%の水分が含まれていて、適度な形・硬さを保っています。一定の水分があることは、排便の上で重要な要素です。そのため適度な水分補給がとても大事です。その場合、一度に「がぶ飲み」するのではなく、飲む回数や量を「いまより少し多め」にするようにしましょう。

 

⑦  規則正しい生活をする

 不規則な生活は体調を崩しやすくし、便秘や肌荒れなど様々な悪影響を及ぼします。生活リズムが不規則だったり睡眠時間が短かったりすると、無意識のうちにストレスを感じています。

 

  • 毎朝決まった時間に起きて、腸マッサージ

 できるだけ規則的な生活サイクルを保つためには同じ時間に起床するようにしましょう。そして、寝床の中で腸マッサージをしましょう。

 

  • 朝ごはんを食べて腸を動かし、便意がなくてもトイレへ

 朝食は軽くてもよいので食べるようにしましょう。腸管運動の80%は起床後や朝食後に活性化されます。すなわち、朝ごはんを食べることで眠っていた腸が目覚め活動を始めます。

 

 

4.ブリストル便形状スケール

 私たちの身体から排泄される便には腸の情報が詰まっています。すなわち、便の状態をみれば、ある程度、腸の健康状態が把握できる訳です。この基準となるのが、1997年に英国のブリストル大学、 ヒートン教授(Heaton)によって発表されたブリストル便形状スケール(Bristol Stool Scale)と呼ばれるものです。医療の場では広く国際的に使用されています。

 

 このスケールは便の形状・色・大きさを元に7段階に分けています。1型と2型が硬便、6型と7型が軟便です。3~5型が普通便で、そのうち4型が理想的な便となります。

 

 慢性便秘症の自覚症状は患者さんにより個人差が大きいため、このスケールを用いることにより便の性状を客観的に評価できます。

 

 皆さんも日頃から、このスケールでご自分のウンチと健康状態を評価されるとよいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5.最後に

 便秘は病気の症状の一つとして現れることがあります。少しでも気になることがあったり、強い腹痛、真っ黒な便や出血を伴うようなことがあったりした場合は医師に相談することをお勧めします。

 

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