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本当に危ない人工甘味料(その3)

アセスルファムカリウム(K)

 

 

 

アセスルファムカリウム(K)

 

 アセスルファムカリウム(K)(acesulfame potassium, acesulfame K)は、ショ糖(スクロース、砂糖)の200倍の甘みを持つ人工甘味料です。1967年、ドイツの製薬会社ヘキスト社(Hoechst AG、現ニュートリノバ社、Nutrinova)の研究者カール・クラウス (Karl Clauß) は実験中自分の指が妙に甘いことに気づき、その物質が5,6-Dimethyl-1.2.3-oxathiazin-4(3H)-one-2.2-dioxideである事を突き止めました。その後、オキサチアジノジオキサイド誘導体について研究を行った結果、合成が比較的容易で水に対する溶解性が高く甘味度も高いアセスルファムKが発見されました。

 

 アセスルファムKは、酢酸に含まれる刺激性のある有害物質ジケテンと酸性洗浄剤などに利用されるスルファミン酸(アミド硫酸)を反応させ、さらに無水硫酸を加えアセスルファム環を生成。その後、水酸化カリウムで中和することにより得られます。アセスルファムKは分子量が小さく消化されず(未変化体のまま)吸収され、体内ではほとんど代謝されず尿中に排泄されます。したがって、カロリー(エネルギー)はゼロです。日本では2000年4月に食品添加物に指定され、2008年には医薬品添加物にも指定されました。

 

 アセスルファムKは、ショ糖と比較して、甘みの立ち上がりが早く後引きが少ないため、スッキリしてキレがよいのが特徴です。ただし、高濃度では、わずかに苦味をもっているため、アスパルテームのような後を引く甘みや、甘みがまろやかなスクロースなどの他の甘味料と併用されることが多いようです。また、他の高甘味度甘味料と併用すると相乗効果をもたらす性質があります。アスパルテームを同量添加すると甘味度が40%強化され、キレとコクのある甘みとなります。ショ糖・果糖・糖アルコールなどの糖質甘味料との併用でも甘味度が15~30%強化されます。また、アセスルファムK自体にも他の味のマスキング効果があります。酸と併用すると酸味・苦味(酢カド1))を和らげる(酢ナレ2))、食塩と併用すると甘味度が鋭敏になり苦味(塩カド)1)が減少(塩ナレ2))します。

 

 アミノ酸からなるアスパルテームが、たんぱく質同様に、熱・酸・塩素に弱いのに対し、アセスルファムKはこれらに強く、パンやクッキーなど加熱される食材や長期保存を前提とした清涼飲料水などに多く用いられています。

 

 なお、アセスルファムKは非う蝕性で、口腔のバクテリアも代謝しないため虫歯の原因物質にはなりません。

 

 

■アセスルファムKの危険性・副作用

 アセスルファムKの食品添加物や医薬品添加物への指定承認をうけるためには、厚生労働省(米国ではFDA、食品医薬品局)にその効能や安全性に関するデータを提出する必要があります。それによると、アセスルファムKは「発がん性なし、毒性なし、副作用なし、カロリーゼロで血糖値やインスリン分泌に影響を与えない、肥満はきたさない、安全性は高い」となっています。果たして本当でしょうか?

 

■製造過程で発がん物質混入の可能性

 安全性で問題なのが、製造工程で発がん物質塩化メチレン(ジクロメタン)を溶媒として用いていることです。塩化メチレンは有機溶媒としてさまざまな物質を溶かす性質を持っています。しかし、毒性が強く印刷工場などで働いている人に胆管癌を発生させたことから、厚労省も正式に発がん物質として認めました。IARC(国際がん研究機関、International Agency for Research on Cancer3))の発がん性リスク評価4)でも、2014年Group2B(ヒトに対する発がん性が疑われる)からGroup2A(ヒトに対するは発がん性がおそらくある)に降格された発がんの危険性が高い物質です。塩化メチレンは肺・消化管から吸収されます。体内では代謝を受けず、肝臓から胆汁として便中に、腎臓から尿中に排泄されます。そのような毒性の強い発がん物質を溶媒として用いているのです! 塩化メチレンが不純物として入り込んでくる可能性はないのでしょうか?

 

 現在、アセスルファムKはすべて輸入されています。以前は開発国のドイツからの輸入が多かったのですが、最近は価格面で優位の中国からの輸入が増えてきています(図2、3)。原産国での製造工程については、ほとんど分かっていません。したがって、不純物の混入・残留などについてもチェックもされていません。塩化メチレンの残留に関しては、ドイツから輸入されたものはおそらく大丈夫なのでしょう。なにしろ、ドイツ国民も口にするのですから…。しかし、中国からのもとなると!? 大いに懸念が残ります。

 

 また仮に塩化メチレンの残留が全くないとしても、たとえ食品添加物といえども「口に入るものの製造過程で発がん物質を使用する」ということに拒絶反応を起こすというのが自然な感情というものではないでしょうか?

 

 

  •  2017年まではドイツからの輸入が第1位
  • 2018年からは中国からの輸入がドイツを抜き第1位となった
  • 最近では中国からの輸入が58%を占めている

 

 

中国産

のアセスルファムKは発がん物質塩化エチレンの混入・残留の可能性を否定できない

 

 

■人工甘味料の真の原産国(原料原産国)は不明

 甘味料にアセスルファムKを使用している、あるコーヒー飲料の栄養成分表示を見てみましょう(右図)。アセスルファムKの原産地(国)はどこでしょう? 一般消費者は当然「日本」と思うでしょう。しかし、すでに説明した通り、アセスルファムKはその原料の全てが海外からの輸入によっています。日本での生産量はほぼゼロです。ドイツ、中国、シンガポールのうちどれかになります。では、原産地(国)とか国産とは何でしょう?

 

 

  • 原産国とは

 林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(以下、JAS法 )の加工食品品質表示基準によると、製品の原産国とは「その商品の内容について実質的な変更をもたらす行為が行われた国」のことを指します。ただし、次のような行為については、「商品の内容についての実質的な変更をもたらす行為」に含まれません。①商品にラベルを付け、その他標示を施すこと ②商品を容器に詰め、又は包装をすること ③商品を単に詰合せ、又は組合せること ④簡単な部品の組立てをすること。これに加え、関税法基本通達では、⑤単なる切断 ⑥輸送又は保存のための乾燥、冷凍、塩水漬け、その他これに類する行為 ⑦単なる混合についても、原産国の変更をもたらす行為に含まれないとされております。このため、輸入された製品について上記①から⑦までに該当する行為を国内で行った場合であっても、「実質的変更をもたらす行為」が行われた国を原産国として表示する必要があります。

 

 平成29年9月1日から加工食品に対する食品表示で原材料の産地表示が義務付けられました。しかし、輸入加工食品は原産国の義務表示の対象外です原材料の産地表示の義務対象は、国内で製造された加工食品のみであり、輸入された加工食品に表示義務はありません。したがって、アセスルファムKの原材料を輸入して日本で加工し飲食物に甘味料として添加すれば、その「アセスルファムKの原産国は日本」ということになります。一般消費者には真の生産国(原料原産国)は分かりません。また、その製品を作ったメーカーに問い合わせても、おそらくは企業秘密として教えてもらえないでしょう。

 

 

■危険な中国産の食品

 2005年の禁止されている抗菌薬マラカイトグリーン使用の中国産ウナギ事件5)。2008年の中国産農薬メタミドホス混入餃子事件6)。2013年の抗生剤や成長ホルモン漬けの鶏肉使用のマクドナルド、KFC事件7)。2014年の消費期限切れの食肉事件8)危険すぎる中国産食品です。

 

 今あなたが飲み食いしている飲食物に使用されている人工甘味料アセスルファムKの約6割は中国産です(図2)。しかし、あなたには真の原産国がどこか分かりません。発がん物質「塩化メチレン」の混入・残留は大丈夫でしょうか? あなたは人工甘味料アセスルファムKの入った飲料・食品を口にしたいと思いますか!?

 

■体内で代謝されず未変化体として尿と便から排出される

 アセスルファムKは分子量が小さく、消化管で消化(分解)を受けることなく吸収され、門脈・肝臓を通り全身に運ばれます。体内でも代謝(分解)を受けず、肝臓からは胆汁として便中に、腎臓からは尿中に排泄されます。したがって、肝臓と腎臓に負担をかけることになります。また、体にとっては異物として捉えられ、頭痛やアレルギーの原因となったり、早く排出しようとして下痢や腹痛をきたしたりすることがあります。

 

■妊娠中・授乳中の人工甘味料の摂取は控えめに

 米国の国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所(NIDDK)の研究チームは、妊娠・授乳中の母マウスに人工甘味料スクラロースとアセスルファムKを摂取させたところ、子マウスの代謝に対して悪影響を及ぼし、マイクロバイオーム(細菌叢9))が変化したと発表しました(Frontiers in Microbiology 2019年6月)。

 

 研究チームは、妊娠・授乳中の母マウスにスクラロースとアセスルファムKの混合液を、ヒトにおける1日摂取許容量に相当する量、その2倍量、水の3群に分けて投与し健康影響を検証した。母マウス(n=31)は血液、母乳、糞便、尿、子マウス(n=226)は血液、糞便、尿を解析した。子マウスを解析したところ、スクラロース、アセスルファムKは共に胎盤と母乳を通してマウスに移行することが確認された。これは以前より報告されていたことではある。

 

 人工甘味料を1日摂取許容量の2倍量摂取した母マウスは、人工甘味料の摂取量が1日摂取許容量である母マウスと比べ、代謝変化が非常に大きかった。また、子マウスの肝機能も影響を受け、血液中の毒素を分解する働きは衰え、腸内の細菌代謝物が劇的に変化した。腸内細菌の変化は2型糖尿病や肥満に類似し、インスリン分泌、炎症、腸内細菌の変化を引き起こす糖の影響が拡大し、脂肪の蓄積を促し、2型糖尿病を誘発することが認められた。

 

【研究チームのコメント】

  • 人工甘味料は、食品・飲料から洗口液、歯みがき粉、薬剤に至るまで幅広く使用され、完全に排除することは容易ではない。
  • 乳幼児には人工甘味料の使用を禁止すべき。
  • 妊娠・授乳中の女性に対して、人工甘味料の含有量を確認したうえで摂取量を1日摂取許容量以下に、また可能な限り少量にするように推奨する。
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■この研究の中で紹介された他の研究報告(要約)

  • 人への暴露は、母乳、乳児補水溶液および投薬を通じて早期に始まる。
  • 妊娠中の母親の人工甘味料消費は1歳児の肥満と関連する。
  • アセスルファムKは胎盤を通過して、子宮内暴露により成人期に「甘い好み」が増加する。
  • 妊娠中と授乳中の人工甘味料は子供のマイクロバイオームを変化させ、早期から代謝調節に影響を与え肥満、喘息、セリアック病のリスク増加に関連する。
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人工甘味料全般の危険性(要約) ☞ 院長の独り言 第66号 2020年5月

  • インクレチン、インスリン分泌に影響を与える。
  • 味覚を鈍化させ、さらに甘いものへの欲求を強め、依存症を招く。
  • 結果的には肥満の原因となる。
  • うつ病発症、腎機能低下、脳卒中・心筋梗塞のリスクが上昇する。

 

 

 

註解

 

1.2)酢カド、塩カド、酢ナレ、塩ナレ ☞ 別紙 院長の独り言 2020年7月号 註解1)2)

①カド:食品の味づくりの過程では様々な「カド」がある。例えば、刺激的な酸味・酸臭として感じる「酢カド」、ピリッと舌を直接刺激するような「塩カド」、コーヒー、柿渋などで渋味・えぐ味として感じる「苦味カド」、アルコール独特の刺激味の「アルコールカド」、発酵期間が短い味噌・醤油で感じる「発酵物のカド」など様々。そして、これらの「カド」は、味作りに際しては好ましくない味とされることも多く、その突出した風味により、味がまとまらなくなるといった課題がある。

 

②ナレ海水の塩分濃度は約3.5%、濃口醤油は約16%。その差は約5倍だが、実際に口に入れた時の感じ方としてはそれほどの差は感じない。むしろ、海水の方がしょっぱいと感じる人が多いかもしれない。塩の成分をみてみると若干のミネラル分と大多数しめるのが塩化ナトリウム。そのため、塩味をダイレクトに感じる。醤油には塩味のほかに、うま味や甘味、苦味、酸味など様々な要素が溶け込んでいるので、しょっぱく感じ難くなっている。

 

3)IARCInternational Agency for Research on Cancer国際がん研究機関

世界保健機関(WHO)の外部組織で、①世界のがん発生のモニタリング(監視)、②がんの原因を特定、③発がんのメカニズム解明、④がん対策の科学的戦略の確立を目的する研究機関。

 

4)IARCによる発がん性分類(2017年6月18日時点)

 IARCの発がん性分類は、ヒトに対する発がん性に関する様々な物質・要因を5段階に分類。この分類はヒトに対する発がん性があるかどうかのハザード(根拠の強さ)を示すもので、物質・要因の発がん性の強さや暴露量に基づくリスクの大きさを示すものではない。分類にあたっては、①疫学調査など人での発がん性データ、②実験動物での発がん性試験などの証拠、③その他関連情報の3点を評価している。

  • グループ1:発がん性がある(ヒトにおいて発がん性の「十分な証拠」がある)。
  • グループ2A:おそらく発がん性がある(ヒトにおいて発がん性の「限定的な証拠」しかないが、実験動物において発がん性の「十分な証拠」がある)。
  • グループ2B:発がん性の可能性がある(ヒトにおいて発がん性の「限定的な証拠」があり、実験動物では発がん性の「十分な証拠があると言えない」、あるいは、ヒトへの発がん性については「不十分な証拠」しかない、あるいは「証拠はない」が、実験動物は「十分な証拠」がある)。
  • グループ3:発がん性を分類できない(ヒトにおいては発がん性の「不十分な証拠」であり 実験動物においても「発がん性の不十分な又は限定的な証拠」である)。
  • グループ4:発がん性はない(ヒトへの発がん性はないことを示す証拠があり、かつ実験動物についても同様な証拠がある)。

 塩化メチレンはグループ2A(恐らく発がん性がある:ヒトにおいて発がん性の限定的証拠があり実験動物において発がん性の十分な証拠がある)と評価された。

 

※:ハザード(hazard)とリスク(risk)

 ハザードとリスクは日本語に訳すと「危険(性)、有害(性)」と訳されているが、本来は別物。ハザード(hazard)とは、危険の原因・危険物・障害物などを意味する英語で「潜在的な危険性または固有の性質」で「いかなる人為をもっても変ええない性質」のこと。注意すべきは、ハザードが存在したからといっても危険(risk)があるとは限らないということ。ハザードに接しない限り危険(risk)はない。例えば、ライオンやワニは固有の危険性を持っているのでハザードに当たる。しかし、近づかない(ヒトの近くにいない)限り襲われる危険(risk)はない。一方、近づく(ヒトの近くにいる)と危険(risk)となる。すなわち、リスク(risk)とはハザードに暴露された結果、どの程度の危険性があるかということ。別の言い方をすると、ハザードとリスクの関係は次のように表すことができる。

 

リスク(危険度)=ハザード(潜在的危険性、固有の性質)×頻度(発生する確率)

 

5)中国産ウナギ事件

 2005年8月4日、厚生労働省は輸入時のモニタリング検査において、中国産養殖ウナギ加工品から食品には使用禁止のマラカイトグリーンが検出された2件の違反事例を公表した。

 

 マラカイトグリーン(malachite green)は絹・羊毛・黄麻・綿・紙などの染色に使用される光沢青緑色の塩基性有機色素であり、その名前は鉱物マラカイト(孔雀石)に似た色からきている。工業用染色に使用されるほか、魚類の殺菌剤、駆虫薬として知られており、観賞魚の水カビ病、白点病、尾腐れ病の治療薬(合成抗菌剤)として用いられている。1970年代半ばから、マラカイトグリーンに対して発がん性が指摘されるようになり、1981年米国で、2002年EU加盟国やノルウェーでも食品等への使用が禁止された。また、中国でも2002年5月に「食用動物への使用を禁止する動物用医薬品及びその化合物リスト」にマラカイトグリーンが組み入れられ、すべての食用動物への使用が禁止された。日本では2005年8月にマラカイトグリーンの養殖魚への使用が全面禁止になった。

 

 問題は次の2点である。①中国では2002年5月からマラカイトグリーンは全ての食用動物への使用禁止になっている。しかし、その後の2005年8月でもマラカイトグリーンが使用されウナギ(蒲焼き)が検出された。おそらく、これは氷山の一角であり、それまで使用され続けていた可能性が高いと言わざるを得ない。②2005年からは日本でも養殖魚への使用が禁止された。しかし、その後でもマラカイトグリーンの代謝産物ロイコマラカイトグリーンがウナギやサバから度々検出されている。中国では、国が使用禁止にしている物質を使用した食品を製造し堂々と輸出している。

 

【一口メモ】 中国産ウナギの蒲焼きの見分け方

 近年はウナギの蒲焼きのウナギの99%は養殖で、天然物にはまずお目にかかることはないそうだ。ウナギは世界には19種(亜種3種)生息する。日本には二ホンウナギ、とオオウナギがいるが主にニホンウナギが食べられている。二ホンウナギはアンギラ・ジャポニカ種で国産と台湾産がある。中国で養殖されたウナギはヨーロッパウナギでアンギラ・アンギラ種という。

 

 スーパーなどで売られているウナギの蒲焼き。最近は国産と中国産は、それぞれの産地が明記され分かり易くなってきた。国産の場合は産地として国名と地名(例えば、国産/鹿児島産、浜名湖産など)が、外国産の場合は国名(例えば、中国産、台湾産など)が明記されている。しかし、その表示がなかったら…。外国産を国産と偽って表示されていたら…。あなたはそれを見破ることはできますか?

 

  • ウナギの種類の違い
  • アンギラ・ジャポニカ種:太平洋のマリアナ海峡で産卵。やや濁流を好む。国産・台湾産ウナギ。
  • アンギラ・アンギラ種:北大西洋サルガッツ海で産卵。ヨーロッパウナギ、清流を好み養殖に多量の水が必要。
  • 「見た目」「食感」「脂」「泥臭さ」の違い

国産ウナギはビニールハウスの中で、中国は掘った池(路地池)の中で養殖される。

  • 国産ウナギ:細長く皮や身が薄い。あっさりしているが、味は濃い。やや泥臭い。見た目は中国産より貧相、しかも高い。
  • 中国産ウナギ:太く短い.皮・身が厚。脂がのっているが大味。見た目は立派、しかも安い。

 

 

  • 産地の定義

 シラス(稚魚)から出荷できる大きさに育つまで一番長く養殖された場所が原材料の産地。したがって、中国で6か月養殖された後、日本に輸入され6か月と1週間養殖されれば立派な国産となる。以前は中国産のウナギを1週間だけ日本で育てた(生かした)ものを国産と偽って販売していた(日本の)悪徳業者もいたとか。

 

6)メタミドホス混入餃子事件

 2008年1月千葉県と兵庫県の3家族10人が冷凍餃子を食べた後、めまい・嘔吐などの中毒症状を訴え、うち9人が入院するといった食中毒事件が起きた。特に、市川市の家族5人は5歳の次女が意識不明の重体、他の4人も重症であった。幸い命に別状なく快方に向かったが、何故このようなことが起こったのだろうか?

 

 当初は大腸菌などによる食中毒とも考えられていたが、その後の調査でこの3家族は共通して中国の天洋食品が製造した冷凍餃子を食べていたことが判明。その残留物などから高濃度の有機リン系殺虫剤メタミドホスが検出された。メタミドホスは毒性が強く日本では農薬・殺虫剤としては使用が認められていない。日本側は当然、中国国内で何らなの方法・理由で混入したと考えたが、中国側は強硬に否定。最後には、「日本や米国の陰謀だ」と主張し平行線をたどり真相はウヤムヤのままであった。

 

 ところが2年後の2010年3月、中国側が突如「容疑者を拘束した」と発表。中国国内でも同様の中毒事件が発生。犯人は呂月庭、餃子製造会社の元臨時従業員で食堂の炊事係であった。会社の待遇に不満を持っていて、清掃部門の倉庫から盗み出したメタミドホス入りの殺虫剤を出荷前の冷凍餃子に注射器で混入させたとのこと。事件発覚後、この餃子製造会社は倒産、彼は「危険物投入罪」で無期懲役となった。

 

7)マクドナルド、KFC事件

 2013年1月、抗生物質成長ホルモン剤を大量に投与して出荷時期を早めた中国産鶏肉、通称「速成鶏」が、上海のケンターッキーフライドチキン(KFC)で使用されていることが発覚し大騒ぎになった。この鶏の養鶏から販売まで行っていた中国の企業・河南大用グループは病死した鶏肉も中国国内で販売しており、日本マクドナルドにも同社の鶏肉が使用されているとの疑惑が浮上した。

 

 この鶏肉の使用の有無を日本国内のマクドナルドやKFC、餃子の王将に質問。KFCと餃子の王将は「この鶏肉は使用していない」と返答。一方、マクドナルドは情報の提供を拒否。「中国からの仕入れ先はお答えできない。心配なら購入を控えてください」との返答であった。その後の2月、一転して問題の中国河南大用グループから一部間接的に鶏肉を仕入れていたと認めた。しかし、鶏肉の安全性に関する具体的な質問に対する実質的な回答ではなくマクドナルド内の「グローバル基準を順守しているので安全」だという見解であった。

 

 中国山東省の六和集団という企業グループの契約養鶏家へのインタビューでは、毎日2回抗生物質を餌に混ぜ投与している。耐性菌出現防止のため18種類の抗生物質を常に変更している。不自然な養鶏法により死んでしまう鶏も多くいる。日本でもブロイラー養鶏には抗生物質が使われているが、食肉に残留しないよう出荷前7日以降の投与は禁止されている。中国でも同様の規制はあるが、投与をやめると鶏が死んでしまうため、出荷の1~3日前まで投与している。その後、餌の投与記録を改竄し抗生物質の残留などを検査なしで出荷していたとのこと。

 

8)消費期限切れの鶏肉事件

 2014年7月、中国上海市の米国OSIグループ傘下の上海福喜食品で賞味期限切れの食肉加工品を出荷していたことが発覚。7月20日、上海市のテレビ局「東方衛視」が潜入取材して放送された報道番組において明らかとなったもので、上海市当局により営業停止となった。当局は組織ぐるみとの認識を示し、23日には警察当局は工場責任者など5人を拘束した。

 

 この工場では、素手で肉を扱ったり、半月ほど期限が過ぎた肉を製造ラインに通したり、床に落ちた肉を機械に入れて、そのまま製造して出荷したりしていた。中には半年の期限が過ぎたものも含まれている。期限が半年経過して青色に変色した肉については、ミンチにして包装し直し、保存期限表記を1年強に書き換えた。この半年経過した期限切れの肉は材料として再利用し、食品の5%に添加されたこの時、撮影された工場内の動画では「混ぜても見た目でわからない」と、実態の隠蔽をほのめかす会話がされていた。また出荷される肉は、本来では冷凍保存されているものだが、75箱が解凍状態で保管されている現場も発見された。これらは不良品となり廃棄されるものだが、工場ではこれを廃棄せずにミンチにして、食肉加工品に5%が添加された。2013年5月に同工場で製造された「中国式ミートパイ」は、「味わい肉餅」という名称の包装に変えて、製造日を2014年1月に改竄。4396箱が出荷された。

 

 同工場から出荷された食品の供給先は、日本も含めてマクドナルド、ファミリーマート、吉野家、スターバックス、ケンタッキーフライドチキン、ピザハット、ハンバーガーキング、セブンイレブン、IKEAとされている。日本ではマクドナルド、ファミリーマートが扱っていた。日本マクドナルドでは「問題の鶏肉が含まれている証拠はない」と主張。しかし、チキンマックナゲットの販売は中止し、鶏肉の輸入先をすべてタイに切り替えた。ファミリーマートはガーリックナゲットとポップコーンチキンの販売を中止した。

 

 同工場では、期限切れの肉を再利用することは長年の一貫したやり方で、これらは上層部の指示によって行われた。工場への立ち入り調査はマクドナルドなどによって頻繁に行われていたが、工場側では検査の2日前になると「現場で不良品混入を見せないように」といった隠蔽指示も出されていた。

 

【一口メモ】 ミートホープ牛肉ミンチ偽装事件

 2007年日本においても北海道苫小牧に本社を置くミートポープによる牛肉ミンチ偽装事件が発覚している。「牛肉100%」と表示した挽肉に、廃棄肉や豚肉や鶏肉を使用。さらには、ウサギ、羊肉、鴨肉、くずパンや水で増量したり、着色のため家畜の心臓や血液、うまみ調味料を混ぜたりしていた。また、サルモネラ菌などの食中毒菌が検出された肉を学校給食などに出荷もしていた。まるで「○国のこと?」と思わせる手口である。「国産といえども、食の安全は保障されていない」との警鐘を鳴らした食肉偽装事件であった。

 

 この偽装を内部告発し事件発覚のきっかけを作ったのは、同社の常務取締役であった赤羽喜六氏である。彼は営業担当であり工場内に入る職種ではなかったため偽装に気づくのが遅れた。しかし、製品への相次ぐクレームから偽装の実態を知り社長に改善を求めるも聞き入れられなかった。そのため、行政指導を期待し苫小牧保健所や学校給食センター、農林水産省北海道農政事務所に匿名で内部告発を始めたが取り合ってもらえなかった。

 

 2006年会社を辞し身分を明かした上で農林水産省北海道農政事務所に不正挽肉の現物を持参して調査を依頼。しかし、同事務所はサンプルの受け取りを拒否、ミートホープへの指導も行わなかった。保健所は訴えで2006年4回立ち入り検査を行ったが、そのうち3回は日程を事前通告していた。事前通告なしでの抜き打ち検査は別の告発者から「亜硝酸塩が基準値を超えている製品がある」との内部告発によるものであった。元幹部の証言によると、それ以前の立ち入り検査もほとんどは事前通告があり、いわゆる「ザル検査」であったという。警察は「外国産牛肉などの肉を国産と偽り出荷している」という案件でDNA鑑定を行ったが対象物件はシロであり、それ以上の捜査は打ち切りとなった。NHKや北海道新聞は告発を黙殺。

 

 そこで地元北海道での告発を断念し全国紙や週刊誌、民放に告発状を送った。2007年春、朝日新聞が反応し調査を開始。ミートホープ社製の挽肉を使用した冷凍牛肉コロッケのDNA鑑定で豚肉や鶏肉とその他の肉が検出され食肉偽装が立証された。同年6月20日朝日新聞はそのことを公表した。その後、数々の不正が明らかとなり会社は倒産。パートを含め約100名の従業員は全員解雇となった。告発から4か月後、社長は不正競争防止法違反(虚偽表示)と詐欺罪で逮捕され、その後の公判で懲役4年の実刑判決を受けている。

 

 内部告発の時点で監督官庁たる保健所や農林水産省事務所が適切に対応していれば、会社は経営方針を改め、倒産せず従業員も職を失わずに済んだかもしれない。この事件後、全国で「白い恋人」の賞味期限改竄、「赤福餅」の消費期限不正表示と売れ残り商品の再販売、「比内地鶏」の偽装販売と消費期限偽装などの不正が内部告発によって次々と明らかになった。消費者庁が予定を前倒しし、2009年に発足するきっかけにもなった。

(Wikipedia、「告発は終わらない」 ミートホープ事件の真相 赤羽喜六/軸丸靖子(著) 長崎出版 2010年より)

 

9)マイクロバイオーム(microbiome、微生物叢)

 ヒトの体に共生する微生物(細菌、真菌、ウイルスなど)の総体。これらの微生物は口腔や鼻腔、腸内、皮膚、肺、膣、子宮、膀胱など人体が外部環境に接するあらゆる場所に、それぞれ特徴的な微生物群が常在する。細菌の場合、ヒトの体内に入ると感染症や病気(疾患)を引き起こす可能性のある病原菌と区別して、多くの人に共通して見られ、通常は病原性を示さないものを常在菌という。その内、腸に棲息する常在菌は腸内細菌叢と呼ばれる。ヒトの場合、常在菌の約90%を占め、菌種1,000以上、菌数350兆個、重量にして1~2kgにも及ぶ。

 

 近年の研究からヒトマイクロバイオームが健康やさまざまな疾患と密接に関係することが明らかになってきた。代謝系疾患では肥満や糖尿病、メタボリックシンドローム、腎不全、心不全などが、免疫・炎症系疾患では炎症性腸疾患(IBD)、過敏性腸症候群、関節リウマチ、動脈硬化症、アレルギー性疾患などが、神経・精神疾患では自閉症、うつ病、多発性硬化症、認知症、パーキソン病などが、消化器系疾患では大腸がん、肝がん、肝炎などが知られている。

 

 マイクロバイオームが疾患の上記発症・進展に関与するだけではない。近年、炎症性腸疾患での糞便微生物移植法をはじめとし、マイクロバイオームを関連する疾患の治療・予防に応用する動きも活発化してきている。