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本当に危ない人工甘味料(その1)

 

 

 サッカリン、アスパルテーム、ネオテーム、スクラロース、アセスルファムKなどの人工甘味料は「カロリーゼロだからダイエットに良い」とメーカーは謳っています。果たしてそうでしょうか? 一般消費者はそのキャッチコピーに踊らされ、「カロリーゼロだから、たくさん摂っても太らない」と安心して、ついつい食べ過ぎ・飲み過ぎてしまいます。結果は「言わずもがな」です。それ以外にも、ホルモンに作用する、味覚を鈍化させる、依存性がある、腸内細菌への影響、うつ病のリスク上昇、腎機能低下、脳卒中・心筋梗塞のリスク上昇など様々な悪影響があります(院長の独り言、2020年5月)。

 

 ここでは、サッカリン、アスパルテーム、ネオテーム、スクラロース、アセスルファムKなどの人工甘味料の問題点を個別にみてみましょう。そのうち、「疑惑だらけのアスパルテーム」に関してはやや詳しく見てみます。

 

サッカリン

 

 サッカリン(saccharin) は世界で最初の人工甘味料です。ドイツの化学者コンスタンチン・フェイルベルグ(Constantin Fahlberg)が米国ジョンズ・ホプキンス大学で、コール・タールからの抽出されたオルトトルエンスルホン酸の酸化の実験中にできた物質が手に付いたのに気が付かず食事をしたところ、異常に甘かったことから発見しました。その後しばらくしてドイツで商用化され、20世紀になると米国に伝わり、第一次世界大戦と第二次世界大戦で砂糖が不足すると急速に普及しました。1960~1970年代にはラットへのダイエットへの有効性が認識され、広く使われるようになりました。米国では「Sweet’N Low」などのブランド名で市販され、レストランではピンクの袋に入って置かれていることが多いそうです。

 

 サッカリンは砂糖(蔗糖)の350倍(200~700倍)の甘味と、痺れるような刺激の後味を持っています。高濃度では苦味を感じるため、糖類系の甘味料に混合されて使用されることが多いようです。カロリーがない(ゼロカロリー)ため減量用の甘味量として注目され、炭酸入りのゼロカロリーダイエット飲料(ダイエットコーラなど)として多くの飲食物に使用されています。

 

■発がん性への危惧

 1960年代、ラットを用いた動物実験により「膀胱がんのリスクが高くなる」という研究が発表され、多くの国での使用禁止となりました。しかし、その後の研究により、発がん性はサッカリンを合成する過程で生成された不純物オルトトルエンスルホンアミドによることが判明し、サッカリンに発がん性はないとの見方が優勢となりました。その結果、米国や中国ではサッカリンが飲食物に再び使われるようになりました。

 

 日本では、食品衛生法の規制が続いていること(大量摂取の抑制のため)、以前のサッカリンにまつわる「発がん性物質」の悪い印象が拭えないこと、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムKなどの別のノンカロリー・ローカロリー甘味料が台頭したことなどにより、サッカリンを用いた食料品は品名・量ともに諸外国と比較して少なめです。しかし、現在の日本でも、ガムや漬物、一部の水産練り製品、歯磨き粉には今でも使用されています。

■体重増加

「サッカリン摂取で肥満になる」という報告があります。2008年米国バデュー大学の研究者による報告では、サッカリン入りのヨーグルトを摂取したラットは、天然甘味料入りのヨーグルトを摂取したラットと比べて、餌の食べ過ぎにより体重が増えたそうです。

また、ブラジルのリオ・グランデ・ド・スル州立大学の研究グループはヨーグルトにサッカリンとアスパルテーム、砂糖をそれぞれに入れて、12週間通常の固形の餌と一緒に与え体重変化を観察しました。その結果、サッカリンとアスパルテーム入りのヨーグルト+固形食を与えられたマウスは、砂糖入りのヨーグルト+固形食を与えられたマウスに比べて体重が増えました。ただし、総カロリー摂取量はグループ間で類似していました。研究者は砂糖と比較しての体重増加はカロリー摂取量とは無関係であり、エネルギー支出の減少や体液貯留の増加が関係している可能性があると考えています。

 

アスパルテーム

 

 アスパルテーム(aspartame)は現在でも安全性・危険性に関して最も論争がある人工甘味料の一つです。ある人はこの疑惑に満ちた甘味料をスイート・ポイズン(sweet poison)と呼びます。米国サール薬品が胃薬(ガストリン)の研究中に強い甘みを持つ成分を偶然発見。その後、日本の味の素株式会社が大量生産技術を開発(商品名、パルスイート)。1974年米国FDA(食品医薬品局)が乾燥製品として、1996年全ての加工食品への使用を認可しました。日本では1983年に食品添加物として認可されました。

 

 アスパルテームは現在米国、欧州、アジア、アフリカ、オセアニアなど120以上の国で1万品目を超える食品・ダイエット食品・医薬品などに使用されるほど普及しています。日本でも約600品目に使用されています。砂糖(蔗糖)の160~220倍の甘味を持つため少量でも十分で、ほとんど無視できるカロリー(4kcal/g)です。その味は「後甘味でわずかに後引きがあり、砂糖に近く柔らか」だと評されています。甘く感じられるのはフェニルアラニンとアスパラギン酸は共にL体1)でなければならず、それ以外の場合は苦く感じられます。

 

 日本でアスパルテームが使用されている飲食物のうち、比較的使用料が多いものを図1)に示します。なお、アスパルテームはL-フェニルアラニン化合物と表記されている場合もあり、注意が必要です。

 

 

 アスパルテームの安全性を巡る疑惑の原因は、その構造にあります。アスパルテームは天然には存在しない化合物です。経口摂取されると小腸でフェニルアラニン(50%)とアスパラギン酸(40%)というアミノ酸と有毒なメタノール(10%)に分解(消化)・吸収されます。その後、通常のアミノ酸と同じ様にタンパク質に合成されたり、脱アミノ化された後にエネルギー源として分解されたりします。そのそれぞれの成分が健康被害をもたらすと考えられています。

 

 

アスパルテームの安全性への危惧

 

■メタノール(メチルアルコール)

 メタノールは猛毒です。飲むと失明、最悪の場合はに至ります。第二次世界大戦後、物資が不足した日本では、酒の代わりに飲まれた事例もあったそうです。闇市での密造酒はバクダンと呼ばれていたとか。メタノールは「目散るアルコール」と呼ばれ、「絶対に飲んではいけない」と理科の先生から教えられたものです。

 

 この現代でも、世界中でメタノール入りの酒により、集団で命を落としたというニュースを見聞きします。2020年3月、イランでアルコール摂取が新型コロナウイルス感染症治療の一助となるとの噂の後、密造酒を飲んでメタノール中毒で死亡する者が続出。2月以降にメタノール中毒で病院に運ばれた人が5000人以上、うち525人が死亡したとのことです(2020年4月27日、イラン保健省)。

 

 

 メタノール(methanol)はアルコール脱水素酵素によってホルムアルデヒドに、次いで アルデヒド脱水素酵素によって蟻酸(ギ酸)に、最終的には二酸化炭素と水に代謝(解毒)され体外に排出されます。代謝中間体のホルムアルデヒドと蟻酸に毒性があります。メタノールは無色、無味・無臭でお酒に混ぜても、そうと分かりません。飲んだ当日は普通のお酒を飲んだと同じような状態で、早ければ翌日位から蟻酸による症状が出てきます。

 

 ホルムアルデヒド(formaldehyde)は刺激臭のある無色で可燃性がある気体です(化学式:CH2O)。ヒトの粘膜を刺激するため、目がチカチカする、涙が出る、鼻水が出る、のどの渇き・痛みやせきなど、シックハウス症候群の代表的な原因物質です。水に溶けやすく37%以上の水溶液はホルマリンと呼ばれ、生物標本の製造に用いるほか、消毒・防腐剤、写真フィルムや乾板製造などに広く用いられています。しかし、体内ではホルムアルデヒドで存在する時間は短く、すぐにアルデヒド脱水素酵素により蟻酸に代謝されます。

 

 蟻酸(formic acid)がメタノール毒性の原因物質です。視神経に直接働いて脱髄を起こしたり、ミトコンドリアの電子伝達系に関わるシトクロムオキシダーゼを阻害したりするために、視神経毒性が現れるといわれています。なぜ目だけに症状が強く現れるかというと、網膜にはビタミンA(レチノール)をレチナールに酸化するためのアルコール脱水素酵素が豊富に存在しており、メタノールを飲んだ場合には網膜でホルムアルデヒド、蟻酸が大量につくられるためです。また、蟻酸の影響でアニオンギャップが開大する代謝性アシドーシスが起こってきます。

 

 メタノールは新鮮な野菜や果物など自然界にも存在します。しかし、ごく微量のため人体に害はないとされています。アスパルテームに含まれているメタノールも野菜・果物より少量のため人体へ直接的な害はないとされています。しかし、注意をするに越したことはありません。

 

■アスパラギン酸

 アスパラギン酸(aspartic acid)はアスパルテームの40%を占める非必須アミノ酸の一つです。「興奮性神経伝達性物質」とよばれ、神経から神経への情報の伝達の介在をします。しかし、過量だと「興奮毒」として神経細胞に障害を与えてしまいます。

 

 アスパルテームは成分としてアスパラギン酸だけでなく、メタノールも含んでいます。そして、アスパルテームの分子特性上、メタノールとアスパラギン酸がそれぞれ単独で存在しているより500~5000倍も毒性作用を高めてしまうという説もあります。

■フェニルアラニ

 フェニルアラニン (phenylalanine)は神経伝達物質の一つで、脳内でドーパミン、ノルアドレナリンに合成されます。ドーパミン、ノルアドレナリンは脳を大いに覚醒し、幸福感を与えるホルモンです。いずれもヒトの体内にあるものではありますが、フェニルアラニン単体で摂取すると脳細胞を過剰に刺激し、時に死に至るほどの興奮性毒となり得ます。つまりは、摂取するだけで強制的に「ハイ」になってしまうわけです。さらにその影響からか症状として脳障害や頭痛、躁鬱、不眠症、知能低下など脳への影響が懸念され、間接的に皮膚や血液のガンなどが増えるという研究結果もあります。また、暴力性が高まるともいわれています。

 

 これらの研究対象はほとんどラットであり、投与量も多過ぎると指摘する声もあります。しかし、アスパルテームのような合成甘味料を「長期間、大量に摂取した人間への影響」はこれから検討されるべき課題です。しかし、動物で危険性が指摘されている以上、避けるのが賢明ではないでしょうか。

 

■アスパルテームを巡る疑惑

 現在アスパルテームは世界の120以上の国で使用され、70以上の公的機関が、その安全性を保障しています。しかし、生まれ故郷の米国では、FDA(食品医薬品局)に食品添加物として認可を申請する前から、論争の的になっていました。現在でも数多くの現代病の原因とされ、健康被害を訴える多くの人々が訴訟を起こし、少なからぬ数の科学者や医師がその危険性を科学的見地から、本やインターネットを通じて訴え続けています。残念なことに日本人の多くが、こういった事実を知らずにアスパルテームの入った食品を口にしています。

 

 一つの面白い調査を紹介します。米国ノースイースタン・オハイオ医科大学のラルフ・G・ウォルトン博士(精神科医)がアスパルテームを巡る論文を検証しました。そのうちアスパルテーム製造企業から研究費を提供された研究機関からの74論文すべてが、「アスパルテームは安全である」と結論しています。それに対し製造企業から資金提を供受けていない独立研究機関からの90論文のうち83論文が、「アスパルテームは脳腫瘍などの致命的な健康被害をもたらす危険性がある」と結論しています。また、米国の興奮毒の専門家ラッセル・ブレイロック医師(脳神経外科)は 「このような神経毒が市場に出回ることは、人々の知能の低下とも関係している。少数の知能の高い人たちが、多数の知能の低い人々を支配するためにこのような人工甘味料が出回っているのだ」と述べています。

 

 

 米国FDAでのアスパルテーム認可の歴史をみてみましょう。1973年サール薬品は色々と問題のあったアスパルテームをFDAに承認許可申請を行いました。しかし、「問題あり」とのことで認可されませんでした。さらにその後、申請時の虚偽・隠蔽の事実も明らかになり、後8年間は認可されませんでした。

 

しかし、サール薬品がドナルド・ラムズフェルトをCEO(最高経営責任者)に迎えると事態は急変します。ラムズフェルトは1970年代のフォード政権で国防長官を務めていました。彼は国防長官を退官した後にサール薬品のCEOに就任しました。当時、彼はフォード政権からレーガン政権へ変わる時に政権移行作業チームのメンバーも務めていました。その彼が、レーガン政権下における新しいFDA局長にアーサー・ヘイズを指名しました。そして、1981年にレーガン政権が誕生した翌日、サール薬品は再びアスパルテームの認可申請を出しました。新しく就任したばかりのFDAヘイズ局長は、長年禁止されていたアスパルテームを一転して承認します。これはラムズフェルトが政治的立場を利用して可能にしたことだったと言われています。

 

 また、先述のラルフ・G・ウォルトン博士が検証した独立機関からの論文のうち「安全であると」結論した7つの研究のうち6つはFDAによって行われたものでした。これらの実験に関わったFDAの職員の多くは、その後アスパルテーム製造企業に職を得ています。これを、政治と企業の「癒着」「天下り」と言わずして何というのでしょう。

 

 

註解

1)L体:有機化合で分子式や立体配置は同じであるが、旋光性が互いに反対の異性体を光学異性体という。分かりやすくいうと、右手と左手のような関係。親指から小指まで、手に付いている指は変わりませんが重ねても互いに一致しない。また、右手と左手で握手はできない。D体とL体がある。L体とD体とで、融点や密度などほとんどの物理的性質は同じだし、化学反応に対する化学的性質も同じである。しかし、偏光に対する性質や、また、味や におい などの生理作用が異なる。 偏光については、L体とD体とで、偏光をする向きが逆方向である。哺乳動物のたんぱく質の構成成分であるアミノ酸の光学異性体は全てL体である。

2001年名古屋大学の野依良治教授が光学異性体を自由に作り分ける技術開発に道を開いた功績でノーベル化学賞を受賞している。