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1)炭水化物 |
私たちは食物から栄養をとり生命を維持しています。食物中の栄養素には炭水化物、タンパク質、脂質があり三大栄養素と呼ばれています。そのうち炭水化物はご飯・パン・イモ・果物などに多く含まれていて体を動かすエネルギー源となります(図1-1)。
【一口メモ】
① 3大栄養素と5大栄養素
栄養とは生物が外界から物質を取り込むことや、それにより体の機能を維持したり高めたりすること。別の表現をすると、口から入った食品を消化・分解・吸収などを通して利用する、健康に生きてゆくための様々な営みのこと。栄養素とは体内での栄養(代謝)のために、外から摂取する要素のことをいう。
栄養学では、栄養の働きは大別すると次の三つがある。①エネルギーになる ②体を作る ③体の調子を整える。そのうち、①の「エネルギーになる」の役割を果たしているものを3大栄養素といい、炭水化物(糖質)、脂質、たんぱく質がある。さらに、「体の調子を整える」働きをしているビタミンとミネラルを合わせて5大栄養素という(図1-2)。
②炭水化物と糖質
糖質と食物繊維を合わせて炭水化物という。食物繊維は人の体内では消化されずエネルギーにはなりにくい。糖質は消化されてエネルギーになる。化学構造の違いから、ぶどう糖などの単糖類、ショ糖(砂糖)やオリゴ糖などの小糖類、でんぷんやグリコーゲンなどの多糖類に分けられる。
ショ糖やオリゴ糖などの小糖類やでんぷんなどの多糖類はそのままでは吸収されない。糖質は最終的には単糖に消化(分解)され、小腸から吸収され血液を通して各臓器の細胞に運ばれエネルギーとして利用される(図1-3)。
【一口メモ】
糖尿病食事療法のための食品交換表の覚え方
多くを含有している栄養素により食品を4群6表と調味料に分類し、食品のエネルギー80kcalを1単位とする。糖尿病患者さんが適正な量で栄養バランスよい食事をする手助けとなる。その大まかな内容と覚え方を示します。
2)ブドウ糖とインスリン |
炭水化物は消化により、その多くがぶどう糖になり小腸から吸収され肝臓を通って血液中に運ばれます。このようにして食後は血液中のぶどう糖の濃度(血糖値)は高くなり体を動かすエネルギー源となります。また、一部はグリコーゲンや脂肪として貯えられます。
インスリンは膵臓のランゲルハンス島のβ細胞から分泌され、血糖を下げる働きのあるホルモンです。血糖値が高くなると膵臓にあるセンサーがその変化を感知してインスリンを分泌します。インスリンの働きによりぶどう糖は肝臓・筋肉(骨格筋)・脂肪組織に効率よく取り込まれ血糖値は低下します(図1-4、1-5)。
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インスリン受容体は肝、骨格筋、脂肪細胞に存在する インスリンはインスリン受容体に結合し、糖輸送体(ぶどう糖を取り込む口)を細胞膜まで移動させ、ぶどう糖を取り込み血糖値を低下させる(骨格筋、脂肪細胞のみ※)。 ※)肝細胞でのインスリンの働きは骨格筋・脂肪細胞とは異なる(グリコーゲン合成)。 |
3)糖尿病とは…インスリン作用不足により血糖値が高くなっている状態 |
糖尿病とは膵臓からでるホルモンであるインスリンの量が減少する(インスリン分泌不全)か、インスリンの働きが悪くなる(インスリン抵抗性)ため、インスリンの働きが悪くなり(インスリン作用不足)ぶどう糖が有効に使われなくなり、血液中のぶどう糖の濃度が高くなっている状態(高血糖)です(図1-6)。血糖値が一定以上高くなると、血液中の糖が尿の中に漏れ出す様になります。
まとめ |
■ぶどう糖は体の大切なエネルギー源。
■インスリンは膵臓のランゲルハンス島、β細胞から分泌されるホルモン。筋肉(骨格筋)、脂肪、肝臓に働き、効率よくぶどう糖を取り込ませ血糖値を下げる。
■糖尿病とはインスリン作用の不足により、ぶどう糖の利用障害がおこり血糖値が上昇した状態。
■インスリン作用不足はインスリン分泌不全やインスリン抵抗性により生じる。