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たかが便秘されど便秘 あなたは便秘ですか?

2016年7月

 

 

 

快食、快眠、快便

 

 快食、快眠、快便。大切な健康のバロメーターです。このうち一つでも欠けると「快く」ありません。そのなかで快便に関しては、日頃から問題のない人にとっては全く気にする必要のないものかもしれません。しかし、排便に関して悩んでいる人は意外と多いようです。特に、女性にとっては永遠の悩みかもしれません。

 便秘解消には、まずは食物繊維をしっかり摂る。それでダメなら下剤を使う。これが便秘に対する一般的な対処法です。しかし、食物繊維をしっかり摂っても解消しない便秘があります。かえって逆効果の場合もあります。また、安易な下剤の使用は便秘をかえって悪化させてしまうことがあります。

 以前は「便秘なんて病気ではない」と考えられ軽視されてきました。しかし、最近では「便秘=腸内環境の乱れ」であり、便秘は自律神経と密接に関係していること。さらに、便秘は腸の不調だけではなく、体全体の不調につながることも分かってきました。まさに、「たかが便秘、されど便秘」です。

 

 

あなたは便秘ですか?

 

1)あなたは便秘ですか? 

2)あなたの悩みは便秘と関係があるかもしれません。 

3)便秘のタイプにより対処方法が異なります。あなたの便秘どのタイプ? 

下の1)2)⇒3)をチェックしてみてください。

 

 

あなたの便秘のタイプは?

 

 便秘はその原因により下の3種類に分けられます。チェックが多い所があなたの便秘のタイプです。なかには2種類、3種類の便秘が併発している場合もあります。ただし、1)2)3)でどこにもチェクが付かなかった方は、これ以降は読んでいただく必要がありません。

 

A:直腸性便秘(スーパー便秘) 

B:痙攣性便秘(ストレス型便秘、過敏性腸症候群) 

C:弛緩性便秘(普通の便秘)

 

 

便秘の分類

 

 便秘は器質性、機能性、症候性と薬剤性に分けられます。器質性便秘とは大腸の長さや大きさに異常ある場合、または大腸ポリープやがんなどにより腸の中が狭くなった場合におきる便秘です。機能性便秘とは大腸の運動や働きに異常がある場合におきる便秘です。症候性便秘とは大腸以外に原因があり生じる便秘、薬剤性便秘とは薬の薬の副作用で生じる便秘です。

 機能性便秘はさらに直腸性、痙攣性、弛緩性便秘に分けられます。ここでは機能性便秘について説明します。

 

 

排便の仕組み

 

 排便の仕組みはかなり複雑です。そして、実によくできています。口から入った食べ物は食道・胃・十二指腸を経て小腸で栄養分を消化・吸収され大腸に送り出されます。大腸は右下の盲腸から始まり上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸・直腸へと続きます。大腸は蠕動(ぜんどう)により内容物を少しずつ肛門側に移送します。便の素となる内容物は小腸から大腸に送られてきた段階では水分の多い状態(泥状)ですが、上行結腸・横行結腸と送られるにつれ水分が吸収され、S状結腸にたどり着く頃には固形の便となります。

 

 

 この蠕動とは別に横行結腸からS状結腸にかけて大きな蠕動(大蠕動)が1日1~2回起こります。大蠕動は空の胃に食物が入ったとき、とくに朝食の後に多く起こります(胃結腸反射)。この蠕動によりS状結腸まできていた便が直腸まで押し出され、直腸壁が進展され直腸内圧が上昇し圧受容体(センサー)が刺激されます。その情報が仙髄(脊髄)の排便中枢に伝わり、さらに延髄一大脳に伝わり「排便したい」という便意が生じます。

 

 普段は直腸から肛門に移行する部分は恥骨直腸筋により前上方(腹側)に引き寄せられて、ある一定の角度(直腸肛門角、約90度)を保ち便は肛門へ簡単には移動できません。さらに、自律神経支配の内肛門括約筋と随意神経支配の外肛門括約筋により肛門部は閉じられており、たとえ夜中寝ている時といえども便が漏れ出ないようになっています。

 

 便意が生じトイレに行き排便姿勢をとった後、排便が開始されます。恥骨直腸筋が緩められ直腸肛門角が大きく開き便が肛門に送られます。自然(自律神経)に内肛門括約筋が緩められ、意思(随意神経)によって外肛門括約筋を緩め、肛門が開かれます。また、大きく息を吸って止め、口を閉じて息むことによって横隔膜を下げて腹筋を収縮させ腹腔内圧を高めて便を肛門から押し出します。

 

 

 

 

 

直腸性便秘

 

 直腸性便秘は結腸の蠕動運動は正常で肛門近くの直腸まで運ばれてきているのに直腸・肛門に問題があるためおこります。下剤や食物繊維が効きにくく、逆効果となりスーパー便秘とも呼ばれています。

 

■直腸性便秘の特徴的な症状

 

 直腸性便秘には以下のような特徴的な症状があります。

 

便意を感じない

 直腸性便秘ではいつも便が直腸に溜まっているため直腸圧受容体(センサー)が常に刺激状態にあるため、センサーが鈍くなってきており直腸に便が来ても便意を感じなくなっています。

 

●排便時に痛みや違和感がある

 便意を感じても痔などが原因で痛みを感じたり肛門が狭く違和感があったりすると、うまく排便することができず便秘になってしまいます。

 

●上手に息めない/排便に時間がかかる/残便感がある

 たとえ排便時に痛みなどない場合でも、便意を感じても「うまく息めない」ことで排便が困難になっている場合があります。自分では思い切り息んでいるつもりでも、顔だけが赤くなってお腹に十分に力が入らず腹圧は高くなっていません。そして、排便に時間がかかり、残便感があります。

 

●便が太く硬い

 どのタイプの便秘でも便は硬くなりますが、直腸性便秘では他のタイプと比較して特に硬くなってしまいます。その理由として、水分が少なくなる排便直前の状態に達してから便秘状態となるためで、便は太く硬くなります。

 

●便秘薬が効かない/飲むと下痢をする/食物繊維が効かない

 直腸性便秘は結腸に問題があるわけではないため、蠕動(ぜんどう)運動を促すなどの効果の便秘薬は効きません。逆に、下痢をすることがあります。また、食物繊維も効きませんし、便秘を悪化させることがあります。

 

 


■直腸性便秘の原因

 

 直腸性便秘の原因は次のとおりです。

 

●日常的に便を我慢する

 直腸性便秘の原因は、何より「便を我慢する」ことです。我慢をする原因には関係がありあません。日常的に便意を我慢すると直腸に常に便が溜まりの直腸の圧受容体(センサー)にスイッチが入りっぱなしの状態となります。その状態が長く続くと直腸が刺激に慣れてしまいセンサーの働きが鈍くなってしまいます。その結果、脳も「排便しろ」という命令を出すことがなくなるため便意そのものを感じなくなくなってしまいます。

 

●痔や直腸瘤など、肛門付近に問題がある

 痔を患っている人の中には直腸性便秘に悩まされている人が多くいます。痔になると排便時に痛みがあるため、ついつい我慢して排便回数を少なく抑えようとしてしまいます。その結果、直腸性便秘になってしまいます。

 

●息む時に肛門を締めてしまう(アニスムス)

 通常は便意をもよおして息むと、下腹部は腹圧が上がり肛門の筋肉(内・外肛門括約筋)は緩みます。しかし、このタイプの便秘の人は普通にトイレに座っただけでは便が出ないため、お腹に力を入れて息んでしまいます。この時、息めば息むほど骨盤底筋(膀胱・子宮・直腸などの臓器を骨盤内に保持する筋肉群)や直腸括約筋に無意識に力が入ってしまい肛門はグッと締り、いくら息んでも便は出ません。便を出そうと力を入れてしまうという事が、逆に便の排出を妨げている訳です。

 

 トイレが長い、トイレに入っても排便できないというような悩みがある場合にはアニスムスの可能性を疑いましょう。アニスムスの有効な対策は「トイレで無理をしない」ことです。

 

●直腸瘤

 女性の場合、息むことによって直腸が膣側にふくらむ直腸瘤(ちょくちょうりゅう)ができることがあります。直腸瘤はレクトシールとも呼ばれ女性特有の便秘の原因となります。

 直腸瘤は直腸にポケットのような「くぼみ」です。ここに便が詰まり便秘を引き起こします。女性特有というのは、女性の体の構造上、直腸が前面(膣側)に押し出されやすいことによるものです。

 

 

 

●老化

 高齢者や寝たきりの生活をしている方に直腸性便秘が多いのも、便意をもよおす神経の働きが鈍るためです。ただし、こちらは我慢をしているからではなく、主に老化によるものです。

 

 


■直腸性便秘の改善方法

 

 直腸性便秘を改善するには肛門の機能障害を取り除く必要があります。

 

●便秘薬を多用しない

 直腸便秘は便秘薬の使用によって状況が悪化してしまう可能性があります。一般的な便秘薬は直腸に対して効果が及ばないものがほとんどです。便秘薬の多様が状況を悪化する可能性もあるので、便秘薬の常用は避けるようにしましょう

 

●食物繊維は水溶性を摂ろう

 食物繊維は便秘に効果があります。しかし、直腸性便秘の場合には過剰な食物繊維の摂取が症状を悪化する可能性もあります。食物繊維は「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」の2種類があります。不溶性食物繊維の「便の量が増える」という効果に注意が必要です。便の量が増えるというのは良いことなのですが、直腸便秘の場合には便が排出されない症状によって、便が詰まる可能性を高めてしまいます。

 

 直腸性便秘の改善では不溶性食物繊維は摂りすぎないようにしましょう。直腸性便秘の可能性がある場合には水溶性食物繊維を積極的に取ることが大切です(前回の院長の独り言 2016/06参照)。

 

 

 

 

 

 

●考える人の姿勢

 直腸と肛門の角度(直腸肛門角)は普段は直角になっていて肛門は閉じています。上半身を前かがみ(約35度)にすると、この直腸肛門角が開いて便が出やすくなります。ロダンの「考える人」をイメージしてみてください。また、最近では少なくなりましたが、「和式の便器」を使用しても同じ様な姿勢になります。

 

 かかとを上げると腹筋に力が入りやすくなります。腹筋以外の場所に力を入れても力が分散されるだけで疲れてしまいます。腹筋だけに力を入れましょう。

 

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