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糖尿病の症状 |
インスリン作用の不足による中等度以上の高血糖が持続すると特徴的な症状(口喝、多飲、多尿、体重減少など)が出現します(図2-1)。一方、急激かつ高度のインスリン作用不足により著しい高血糖が生じる急性の合併症もあります。慢性的な高血糖状態が長く続くと、いわゆる糖尿病の合併症といわれる慢性の合併症が出現します(図2-2)。
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糖尿病の自覚症状 |
■糖尿病の自覚症状
持続する中等度以上の高血糖により口喝、多飲、多尿、体重減少、易疲労感などの糖尿病に特徴的な症状が出現します(図2-2)。しかし、一定以上の高血糖状態が一定以上持続しないとこれらの症状は出現しません。したがって、ほどんどの場合は自分が糖尿病である気づかず、長期間放置されることが多くなります。しかし、その間でも糖尿病は水面下では密かに、そして確実に進行しています。ある時、突然合併症が出現して糖尿病と分かり、しかも「糖尿病はかなり進行していた」といったが例も多々あり注意が必要です(図2-3)。
■糖尿病の自覚症状出現のメカニズム
口渇、多飲、多尿という糖尿病に特徴的な症状が出現するメカニズムです。高血糖により尿にぶどう糖が漏れ出る(尿糖)により一連の症状がでるようになります(図2-4)。
血糖値が高くなると尿にぶどう糖が漏れ出てる(尿糖) ☞ 尿の浸透圧が上昇 ☞ 浸透圧を調整するため尿を薄める(多尿) ☞ そのためノドが乾き(口渇) ☞ 大量に水分を取るようになる(多飲) ☞ 多飲は多尿につながり悪循環を形成 |
【一口メモ】
■腎性尿糖
糖尿病は「尿に糖(ぶどう糖)が漏れ出る」ことから名付けられました。しかし、糖尿病でも尿に糖が漏れ出ない(尿糖陰性)場合があります。また逆に、糖尿病ではなくても尿に糖が漏れ出る(尿糖陽性)ことがあります。
糖尿病でなくても尿に糖が漏れ出る場合、腎性尿糖といいます(図2-5)。
■腎閾値(腎臓の糖排泄閾値)
腎閾値(腎臓の糖排泄「閾値」)とは尿中に糖が排泄されるときの血糖値のことをいい、概ね160~180㎎/dlです。つまり、血糖値が腎閾値以下であれば、(糖尿病であっても)尿中に糖はほとんど排泄されません(尿糖陰性)。
逆に、尿糖陽性ということは腎閾値を超えるような高血糖状態(血糖値が160~180㎎/dl以上)があったことを意味します。尿糖を測ることは血糖測定と異なり、痛みを伴わず自宅でも簡単にできます。
糖尿病の合併症 |
高血糖の状態とは、いわば全身が砂糖漬けになっていると言うことです。糖尿病を治療せずに放置すると別の症状や病気が起こります。これを糖尿病合併症(合併症)といいます。その種類や程度はさまざまです(図3-1)。
■急性合併症
急激で高度のインスリン作用不足は血糖値の著しい上昇や代謝異常をきたし、意識障害や昏睡に陥ることがあります。
糖尿病患者さんは細菌やウイルスに対する抵抗力が低下しているため、感染症に罹りやすく、また重症化しやすくなります(図3-2)。
■慢性合併症
慢性的に続く高血糖や代謝異常は網膜や腎の細い血管(細小血管)に障害を与えます(細小血管症)。また、全身の動脈の硬化性変化(動脈硬化)を進展させます(大血管症)。さらに、神経障害や白内障などを引き起こし糖尿病患者の生活の質(QOL)を著しく低下させます(図3-3)。
■細小血管症
細い血管の合併症(細小血管症)は糖尿病に特徴的で、代表的なものが神経、眼の網膜、腎臓に生じる合併症です。
血糖値が高い状態が続くと、体のすみずみにはりめぐらされている末梢神経が働かなくなり、手足の感覚が失われます(糖尿病神経障害)。また、自律神経が正常に働かなくなって、汗を異常にかいたり、尿意を感じなくなったり、ED(勃起障害)になったりします。
眼の網膜の血管を侵すと網膜症(糖尿病網膜症)になり視力障害をきたします。ひどい時は失明します。失明の原因としては、糖尿病網膜症は緑内障に次ぎ第2位です。
腎臓を侵すと腎障害(糖尿病腎症)になり、最後は血液透析が必要になります。1998年以降は透析に到った原因疾患の第1位は糖尿病です。これらの細い血管の障害は糖尿病になって血糖値が高い状態が続くと起こってきます。
通常、糖尿病の3大合併症とは、これらの細い血管の障害からくる糖尿病神経障害・網膜症・腎症のことを言います(図3-4)。
■大血管症
糖尿病は脳梗塞や心筋梗塞の原因となる動脈硬化の原因のひとつです。糖尿病患者さんは健康な人と比べて3~5倍脳梗塞や心筋梗塞になりやすいとされています。糖尿病の前段階である予備群、すなわち若いうちから発症します。また、女性でも男性と同じ位おこりやすいとされています(図3-5、図3-6)。
糖尿病合併症の覚え方 |
■細小血管症の覚え方
しめじ:し(神経:神経障害)、め(眼、網膜症)、じ(腎臓:腎症)と覚えましょう
■大血管症の覚え方
えのき:え(壊死)、の(脳梗塞)、き(狭心症・心筋梗塞)と覚えましょう