>医療法人 啓眞会 くにちか内科クリニック

スマホ用QRコード

片頭痛

 

 

頭痛の原因は様々です。素人判断では危険な場合があります。

まずはご相談を!

 

 

片頭痛

 

 片頭痛(migraine)は発作的に起こり、4~72時間持続する、片側性のズキズキと脈打つような、拍動性の痛みが特徴とされています。片頭痛という名称は片側が痛むということからきていますが、実際には約6割が片側性で約4割は両側性です。また、拍動性は6割で約4割は非拍動性で、片頭痛患者の約80%は緊張性頭痛も持っているとされています。頭痛発作中は感覚過敏となって、普段は気にならないような光、音、臭いを不快と感じる場合があります。さらに、吐き気や嘔吐を伴うことも多く、頭を動かすとか階段昇降とかの日常的な動作によって頭痛が増強するため、寝込んでしまい学校や仕事に支障をきたすこともあります。しかし、頭痛のないときはケロッとしているのも片頭痛の特徴です。

 

 片頭痛は頭痛の前に起こる「前兆」の有無により、「前兆のある片頭痛」「前兆のない片頭痛」の二つのタイプに分類されます。前兆はキラキラした光、ギザギザの光が視界にあらわれ見えづらくなる「閃輝暗点」といった視覚性の症状が最も多く(90%以上)、ほかにもチクチク感や感覚が鈍くなる感覚症状、言葉が出にくくなる言語症状などがあります。特殊な前兆として、半身の脱力感や回転性めまいを認める場合もあります。通常は、前兆が5~60分続いた後に頭痛が始まります。頭痛が始まる前に、なんとなく頭痛が起こりそうな予感や気分の変調、眠気、疲労感、集中力低下、頸部の凝りといった症状を経験する場合がありますが、これは前兆とは区別して「予兆」といいます。

 

 片頭痛は緊張型頭痛とともに最もありふれた頭痛の一つです。日本では15歳以上を対象とした全国調査では年間発症率は約8.4%(前兆のない片頭痛5.8%、前兆のある片頭痛2.6%)と報告されていますが、片頭痛と診断されていない人もいるため、実際にはもっと多くの人が発症しているのではないかと考えられています。20~50の働き盛りの人に多く、男性よりも女性の方が約4倍多いとされています。年代別では30歳台女性では20%、40歳台女性でも18%と高い有病率を示しています。未成年における有病率は高校生9.8%、中学生4.8~5.0%、小学生3.5%という報告もあります。

 

 

片頭痛セルフチェック

下記の4つ以上当てはまると片頭痛の可能性が高くなります

  • 頭痛が起きると4時間~3日続く(薬を服用しない場合)
  • 家族に頭痛持ちがいる
  • 頭痛の時はできるだけ静かにしていたい、寝込むほど痛い
  • 吐き気や嘔吐を伴いやすい
  • 痛みで仕事や家事ができない
  • 頭を下にしていると頭がいたくなる、日常動作でも頭痛が悪化する
  • コーヒーを飲むと少し落ち着く
  • アルコール、特に赤ワインを飲むと必ず痛くなる
  • 雨や台風を予測できる
  • お腹がすくと痛くなる

 

 

片頭痛のメカニズム

 

 片頭痛の病態、メカニズムはまだよく分かっていません。神経説、血管説、三叉神経血管説などがありますが、現在では三叉神経血管説が有力視されています。三叉神経は脳神経の一つで、頭部の知覚の大部分を担っています。三叉神経の一部が、何らかの刺激によって活性化されると、三叉神経から化学物質が放出されます。この化学物資が血管や周囲の組織に炎症を引き起こし、その炎症がさらに三叉神経を興奮させるという悪循環に陥ります。そして炎症が拡大し、神経の興奮が三叉神経核、視床、そして痛みを感じる中枢である大脳皮質感覚野にまで伝わり、片頭痛の痛みとして自覚されるのです。

 

 近年では、この化学物質が主にカルシトニン遺伝子関連ペプチド(calcitonin gene related peptide、CGRP)と呼ばれる中枢神経などに存在するアミノ酸の結合体であることが明らかになりました。それを契機に、CGRPの働きをブロックするCGRP関連薬剤の開発に繋がりました。

 

 

片頭痛の急性期治療

 

 片頭痛の薬物治療には、頭痛が生じた際に使用する急性期治療薬(鎮痛薬)、頭痛の有無に関わらず予防的に使用する予防療法があります。急性期治療薬に関しては、アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、片頭痛のために開発されたセロトニン受容体作動薬であるトリプタン製剤があります。一方、予防療法としては抗てんかん薬(バルプロ酸)、降圧薬(ロメリジン、プロプラノロール)、抗うつ薬(アミトリプチリン)などが用いられていました。いずれの予防療法もほかの疾患のために開発され、後に片頭痛にも有用であることが経験的に明らかになった薬剤でした。

 

片頭痛急性期の治療

 軽度~中等度の頭痛ににはアセトアミノフェン、あるいはアスピリン、ナプロキセンなどのNSAIDsを使用します。次に、中等度~重度の頭痛、または軽度~中等度の頭痛でも過去にNSAIDsで効果がなかった場合はトリプタンが選択されます。また、最近ジタン系と呼ばれる新しい薬が登場しました。

 

 

トリプタン製剤

 

 トリプタンは片頭痛の第一選択薬です。トリプタンで効果があまりない場合はアセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、エルゴタミン製剤、制吐薬などの治療薬を併用します。トリプタンの中でも最も血中濃度の立ち上りが速い(効果が速く発現する)のは注射薬で、次いで点鼻薬、内服薬と続きます。

 

片頭痛急性期の経過と服薬タイミング

 片頭痛の経過を模式的に示すと下図のようになります。一般的にはトリプタンは前兆期の後期から頭痛期の初期に内服することが勧められています。トリプタンは片頭痛の起こる前に服用しても効果はなく、痛みが始まってから初期に服用すると効果が高くなります。閃輝暗点などの前兆がある場合はその後期から、前兆のない場合は片頭痛が起きたと分かったら20~30分以内といったできるだけ早いタイミングで服用します。具体的には頭を左右に軽く振ってみたりお辞儀をしたりして、これは片頭痛による頭痛だと分かったたら服用します。

 

 逆に、頭痛が来る予感がするけれども、まだ全く頭痛がない状態(前兆期・予兆期)で服用するとあまり効果は期待できません。これは、トリプタンは神経系のセロトニン受容体に働く薬剤であって、それ自体は消炎鎮痛作用を持っていないということと深く関連しています。そのため、いつから片頭痛が始まったと分からない場合や、よいタイミングで服用できない場合、効果が不十分な場合などでは点鼻薬や注射薬を併用します。

 

 嘔気、嘔吐が酷い場合はトリプタンやNSAIDs内服前に制吐剤を服用し、薬剤の嘔吐を防止します。嘔吐が酷くなる場合はトリプタン点鼻、注射やNSAIDs座薬も検討します。

 

 

 

 

レイボー

 

レイボー錠

 最近(2022年6月8日)ジタン系と呼ばれるもの新しい薬、ラスミジタンコハク酸塩(商品名:レイボー錠)が発売されました。トリプタンとの大きな違いは、片頭痛の痛みが出てからでも十分に効果を発揮する点です。朝起きた時には頭痛があったとか、片頭痛の前兆がなくいつ片頭痛が始まったか分からないとかで、服薬のタイミングが遅れた場合でも有効です。ただし、服薬のタイミングには影響されにくい薬ですが、片頭痛が始まったら我慢せずに早めに服用するようにしましょう。レイボーは血管収縮作用がないので狭心症や心筋梗塞などの心血管障害や脳梗塞・出血、くも膜下出血などの脳血管障害の既往がある方にも使用できます。

 

 レイボーはトリプタン特有の副作用は無いようですが、めまい眠気をきたす事があります。この薬のよるめまいは下記の特徴があります。①ほとんどはフラフラするという浮遊感である、②初めての服用時や一回の服用量が多い時に起こりやすい、③薬を服用してから1時間以内にあらわれることが多く、およそ数時間(3時間)以内に治まる、④服用回数を重ねると軽くなる。従って、初めてこの薬を服用する時は、少量(50㎎)から開始し、かつ夕方や就寝前に服用するようにします。そして、慣れてくると服用量を増やし、(夕方や就寝前でなくても)片頭痛発作が起きると早めに服用するようにしましょう。また、めまい以外にも眠気を伴いますので、車の運転を避ける必要があります。

 

 レイボーを服用して頭痛がいったん治まった後、片頭痛が再発した場合は追加でこの薬を服用することができます。ただし、24時間で合計200㎎を超えないようにします。

 

製薬メーカーからの薬の服用法に関する説明は下記よりダウンロードできます。

☛ 初めてレイボー錠を服用する方へ

 

 

慢性片頭痛

 

 慢性片頭痛はもともと片頭痛があります。その大多数は「前兆のない片頭痛」で、ある時期を境に頭痛の頻度が増すとともに発作性、片側性、拍動性など片頭痛に特有の性質が消えていき、あたかも緊張性頭痛のような頭痛が連日性におきる頭痛をいいます。一番多いパターンは典型的な片頭痛から緊張性頭痛の要素が加わった混合性の頭痛に変化した頭痛です。

 

 慢性片頭痛は頭痛が月に15日の頻度で3カ月を超えておこり、少なくとも月に8日は片頭痛の特徴をもつ頭痛です。有病率は1~2%とされています。発作型の片頭痛から慢性片頭痛に移行する年間発症率は約2.5%と言われています。 慢性片頭痛に移行する危険因子は、薬物乱用・いびき・ストレス・うつ・不安・環境の変化・慢性疼痛疾患など共存症の関与が指摘されています。

 

 「思い返してみると以前は月に数回、発作的に強度・拍動性、嘔気や光・音過敏がある特徴的な頭痛だったのがいつのまにか連日続く特徴が一定しない頭痛に変化している」ような頭痛は慢性片頭痛を疑うべきとされています。

 

診断基準

A .緊張型または片頭痛(あるいはその両方)が月に15日以上の頻度で3ヵ月を超えてB、Cを満たす。

B.「前兆のない片頭痛」の診断基準をみたすか、「前兆のある片頭痛」の診断基準を満たす発作が、併せて5回以上あった患者に起こる。

C. 3 ヵ月を超えて月に8日以上で以下のいずれかを満たす。すなわち、前兆のない片頭痛の痛みの特徴と随伴症状がある。

1.以下の a~d のうちの少なくとも 2 つを満たす。

(a) 片側性、(b) 拍動性、(c) 痛みの程度は中程度または重度、(d) 日常的な動作(歩行や階段昇降など)により頭痛が増悪する、あるいは頭痛のため日常的な動作を避ける

2.以下の a または b の少なくともひとつを満たす。

(a)悪心または嘔吐(あるいはその両方)(b)光過敏 および 音過敏

3.発作時には片頭痛であったと患者が考えており、トリプタンまたはエルゴタミン製剤で改善する。